You're a Kiog crawling

□-初-
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置き手紙を残し、桜風と手を繋ぎ仲良く歌を歌う。

勿論童謡だ。

さっきはチューリップから森のくまさんに移植した歌を唄っていた。





書室を開け桜風を入れると真っ先に絵本のある棚に向かう。






「らーびぃーらーぁーびーー」




「んー?っどわっ」








これなぁに?と手渡されたのは『巨乳と貧乳の禁断の恋〜百合の森編〜』等いかがわしい文と写真の雑誌だ。
写真の女性は裸で白百合を二人で持って四つん這いから振り返る何とも淫らな姿だった。


多分誰かが絵本の棚は弄られないと思い隠したんだろう。

深くため息をつく。



ラビは先程のいかがわしい両親といいつくづく此処は教育に悪いと頭を抱えた。




桜風は無邪気に絵本を見ている。




「ったく、はぁー」


「らーびー」


「またエロ本見つけたんさ?」





「えぇーほん?こぃもえーほん?」





発掘した代物にラビはゾワッと鳥肌を立てた。



「らーびーぃ?」




ばさっと無理矢理取り上げ隠す。
苦笑しながら桜風を右手で撫でた。

「んーそうさぁ♪桜風があと10歳ぐらい経ったら必要になるかもさ」





ならないでほしいと強く願った。
何せ代物は…『アニキと僕のウホウホ』何てタイトルの薔薇本だ。
男が男とヤルシーン満載だ。

何故こーゆー類が多いんだ?

何て思っていたら桜風はまたもや怪しな物を持っている






「ママのー!」



「ブ★ラジャー…?!」





鼻血を出しながら桜風から奪おうとする。
が、桜風はむっとして離さない。




「桜風!離すさ!」

「やっ!らびやっ!」




「パパに言うぞ?」





ニヤリと脅しをかけた瞬間クスクス笑う桜風。いきなり立ち上がる。大きく手を延ばす。



「ぱぱぁ!!」












ラビは真っ青にしている。それとは反対に桜風はラビを踏み台に抱き着く。




「オイ、桜風に何教えているんだ?」









「ぱぱ、えーほんいるぅ?」




「パパは、ママがいるからいらないな。な?馬鹿兎」






「ままえーほん?」




「あぁ、エロ本そのものだな」


「えへへーっ」






ラビを踏み潰しながら桜風にそう教えると、頭を撫る。


「ままはぁ?」


「寝てる」



「ふーん、あ、ラビとあそぶ!」










そう言い死にかけのラビにのしかかる。



時に無邪気とは恐怖だ。

なんて思いながら起き上がり桜風を膝の上に座らせる。



神田は本棚によっ掛かり座る。





「はぁ……」




珍しくため息を漏らした神田をおちょくる様にラビが聞く



「千代はどうしたんさ?」



「失神……させた」





神田の一言に大声を出す。
桜風は本を読んでいた。



神田は前髪をグシャッと握りながら後悔を溜め息にして再度呟く。



「……やり過ぎた…嫌われたかもな」



「…馬鹿!?何処の世界に彼女いや、妻を失神させる旦那が居るんさ!?だいたい真昼間から…」



グチグチ言うラビの言葉より頭に浮かぶのは三年前のあの全てを諦めた千代の顔だった。

それを思うだけで孤独が取り巻いた。霧の様に無情に神田を取り巻く。掃っても掃っても……まるで水を切るような感覚。







「ぱぱぁ!ままわ?まま!」



「……あ、ママは寝てる」


「部屋もどう!寝んね!」





無邪気にラビの膝に寝そべる桜風の頭を撫でた。そうして抱き上げる。


黒い髪の毛、青い瞳、白い肌、甘えん坊な性格。だけど滅多に泣かない桜風。
まさに千代と俺の子だった。






「あぁ、行くなら本片してからな」




桜風はズルズルとラビから下り絵本を片していった。それを見てたラビがクスクスと肩を揺らす。




「パーパ身についてるさ」



「死ね」










ひでぇと笑うラビ。薄笑いを浮かべ桜風を見守る。



無意識に桜風を目で追っていた。無意識に桜風に口を出してしまう。


特に理想や希望願い等無い。




だけど、千代が桜風という名前を付けた理由を聞いた時一つだけ思った。


不幸に成る運命があるのなら、桜風は幸せになる運命なのだと。


桜風のおかげで今の平穏がある。幸せを運ぶ子だと思った。






一通り終わったのか桜風は抱っこと俺の目の前で手を延ばす。


抱っこをしてやればきゃっきゃと喜ぶ。








「また、頼む」



「餓鬼の世話なら任せるさ」





バイバーイと手を振る桜風は神田の飲み込んだ仕種を表している様にも思えた。






「親子だなぁ…」










酷にも彼等の幸せを自分の幸せの様に思う自分が居る


俺は間違えていない





彼等は










最高の親友だ
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