愛+曖昧模糊
□8.望まないのは要らないから
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皆が私を忘れた。
私は……何故か寒くて寒くて。
私を知る人は全員口を揃えて修兵を忘れろと言う。
いつもいつも私は修兵の温もりを探しているのに…
上手く感情が表現できなくなったらしい。
私は笑っているのに
皆は悲しい顔をする。
「雪…すき……」
「あ、窓開けんのか」
「違う…見てたいだけ」
「雪の何処がすきなんだよ」
「冷たくて、温かくて、平等で、白いとこ」
恋次はまた悲しそうな顔をしていた。
「修兵に私は必要だったのかな」
「千代…」
「………ごめんね」
恋次には私がどれだけ哀れに映っているんだろう?
その日は寒くて…温かかった。
ある日私にとっての毎日が変わった。
ただ、ぼんやりしたものだったのに
あの日の夜。月見をしていて、ぼんやり真っ白な絨毯を眺めていると、黒い何かと目が合った。
それは動かずこっちを見ている様だった。
しだいに辺りを見回しソワソワとして、ぎこちなく手を振ってきた。
愛しかった。
でも私には…何も出来なかった。
残念そうに手を下げて再び見つめるだけ。
言葉は無かった。