愛+曖昧模糊
□1.おはようのキス
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「あま………??」
千代は甘えん坊だ。
起きたらすぐ、何処でも僕がどんな状況でも、遠くに居ても、一言目は僕を探す。
下着姿で屋敷をうろつき、最近は父上に「お前の嫁ぐらい手前で管理しろ」と理不尽に叱られる程、決まって僕を探す。
前の日に帰りが遅いと言っても。
変わらず、絶対。
「千代、おはよ」
「アマイモン…いたっ」
ぺたぺたと裸足で駆け寄り飛びつき廊下の床に押し倒される。
しつこいぐらいに唇を重ね、小さく吐息を漏らす。
「……千代?」
「メフィストが…っ…メフィストが……」
怯える千代。
千代は兄上が"怖い"らしい。
「落ち着いて、千代…」
僕を見て泣き叫び、君は部屋に篭る。
僕を純粋に好きだと言った。地の王となり、兄上が何か遊び半分で申したのだろう。
ため息をつき、様子を見に行くと千代はシーツを被っていた。名前を呼ぶと首を振っていた。
「あま…ごめ……わたし…あまが好きだから…死んであげられない…嫌いになれない…別れられない……」
泣きながら言う。
僕は君が好きだから結婚した。
君をとられたくなくて、君を僕のものにしたくて…傍に置いた。
なのに、なんで?
僕から離れられないと泣くのだろう?
「千代…?」
「わたしが…あまを好きで…ごめんなさい……」
『君は半分人間だ、そんな君が地の王であるアマイモンに相応しいと?』
『純血を汚すしか君には出来ないだろうね』
『君はアマイモンに何が出来る?』
『アイツの為になにか出来るんですか?』
『君が好きなのは勝手だが、アマイモンは本当に君を好きなのかな?』
『ただ、楽しんでいるんですよ』
『君が世界一、いや、宇宙一幸せになって、それを壊すのを』
兄上から聞いて、解った。
君が怖がっていたのは僕なんだて。
今日も君は確認をする。
兄上の香りを。
朝起きたら君に告げようとした。
人間は脆くて、
人間は壊れやすい。
君は誰より優しかった。
「……千代」
君は泣きながら同族を殺して、使用人を殺している。
怯えながら。
体中に知らない奴の血をつけて。
猫のようにベッドに眠る。
「あま…?どうしたの?」
「…風呂、入ろう?」
君は泣きながら言う。
「もう少し、待って?今…あまを嫌いになるから」
辛いなら言えば。
僕が慰めるのに。
「千代…愛してるよ」
何度も何度も呟く。
涙が止まるまで。
今日も好き
(あま…)
(おはよう千代…ん!?)
(っ…ん、ふ…はぁっ…はよう)
(…どうしたの?)
(す、き…あま…)