NOVEL〜コハク〜

□「意味なんて」
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ある日の午後。



ここは鬼兵隊の船の一室。

廊下では、隊員たちが忙しそうにバタバタと行き来していた。

その早々とした足音は、部屋の中まで聞こえていた。


「なんじゃ外が騒がしいのォー。
 何かあったがか?」

「別にいつものこった。」

ふぅっ、と高杉は口からキセルの煙を吐いた。

「行かんくってエエんか?」

「あいつらに任せときゃあ心配いらねぇ。」




坂本は騒がしい廊下の方をじっ、と見つめた。

そして、目線を高杉に向けた。




「のぅ高杉、なぜにおんしの兵は鬼兵隊ば言うんじゃ?」


高杉は坂本の方に振り向いたかと思うと、
またすぐ顔を戻した。


「そういうテメェん所の隊はどうして快援隊と呼ぶんだ?」

「そりゃあ、皆が“快”うなるような“援”助ばするためじゃあ!」


坂本は人差し指を立て、ニカッと笑ってみせた。

高杉はフッ、と鼻で笑った。


「俺ん所はなぁ、“奇兵”っていう文字がもとになってんだよ。」

カタ、とキセルを置く音がした。



「“正兵”の対となる語は“奇兵”。わかるだろ?
 俺ん所の奴らはアブナイ目つきをしてる連中ばかりだ。」


高杉の口角がゆがむ。



「しかしどうにも“奇兵隊”じゃあしっくりこなかったんでな、
 “鬼”という字に変えたんだよ。
 
 悪役にぴったりだと思わねぇか?」


クク、と高杉はさも面白げに笑った。






「その“鬼”のような連中ば集めちょるんは高杉じゃろう?」

坂本が口を開いた。


「あやつらは、おんしに引かれて此処におるんじゃ。」


高杉の顔は笑っていなかった。

坂本は高杉に近寄り、包帯が巻かれているその顔にふれた。






「一番アブナイんは、おんしぜよ。」





「そうかもな」




高杉は目を細め、口をニヤリと歪ませた。


「今にも壊れて暴れだしそうな奴らばっか集まるのは、
 俺のせいかもな。」



高杉は置いてあったキセルを、また吹き始めた。









その高杉に引かれている自分も、

いつか壊れて暴れだすのだろうか。













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意味なんて無いです。無いですよ!!
もっとちゃんとした物を書きたい・・・。((泣

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