NOVEL〜コハク〜

□「暗闇トワイライト」
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目が覚めると、見慣れた天井がこっちを見ていた。


部屋全体が薄暗かった。
まだ夜は明けてないらしい。



夜中に目が覚めてしまった坂本は、
腕を持ちあげてゴロン、と反対側に寝返りをうった。


その反対側に、高杉がスヤスヤと眠っていた。


おぉ?と坂本は眠っている高杉に気がついた。
部屋は暗いが、物の姿が見れるくらいの暗さだった。



安らかで心地良さげに眠っている高杉を見て、
思わず坂本は声を出さずに笑ってしまった。

「よぉ寝ちゅう。」


ふと、坂本は高杉の髪に目をやった。
暗い中で、高杉の髪は漆黒に艶めいていた。
部屋の暗さに溶け込んでしまいそうな黒だった。

その髪は、少し濡れているように見えた。
汗さえも輝いてみえる高杉の髪に、坂本はただ見とれていた。



不意に、坂本は高杉の髪に触れた。

さらりと指の間をすべる髪一本一本に見とれてしまう。

しめっている髪の冷たい感触を感じる。




坂本は恋人の寝顔を見ようと、高杉の顔にかぶさっている長い前髪を手でのけた。


高杉の額には汗がにじんでいた。
それを坂本は指でぬぐってやった。


高杉の長いまつげが見えた。
息をしている鼻が見えた。
うすい唇が見えた。









すべてが愛しい。









ふと、坂本は自分の腕が傷だらけなのに気が付いた。
赤くて細かい線が、無造作に散らばっていた。
これは多分、爪をたてた跡だ。
きっと最中に高杉が付けた爪跡なのだろう。


そして、高杉の首もとにも赤い跡が付いていた。
にじんだような赤い跡が、数ヶ所に染み付いていた。
それは自分が口で付けた跡だった。





「ン・・・。」

もぞもぞと高杉は布団の中で少し肩を動かした。


「お?」
「ンぅー・・・。」

高杉は顔を布団にこすりつけると、目を少しずつ、ゆっくりを開いた。


坂本は、高杉の頭をなでた。

「すまんのー、起こしてしまったか?」

「いや・・・、ただ目を覚ましちまっただけだ。」


起きたばかりだからか口調がゆっくりとしていて、
高杉の唇が少しだけ動いた。







するといきなり、坂本は高杉の唇に自分の唇を押し付けた。


「んぅっ・・・!」

いきなりの事に、高杉は驚きを隠せなかった。


口が開き、舌が入りこむ。

不覚まで舌が入り乱れ、呼吸さえままならなかった。


「んン・・・ぁ、ハァっ・・・。」


耳にピチャ、と淫らな水音が聞こえる。

口は完全にふさがれ、中で舌がただ入り交じっている。









ゆっくりと坂本が、高杉から口を離した。


「━━━━んプハっ!」

高杉は息が整ってなく、小さく口を開けたまま盛んに呼吸をしていた。


「どーしたんだよ、いきなり。」
「いんや、ただ何となくじゃよ。」
「大抵キスはお前からだからな、べつに慣れたけどよ。」

やっと息が整い、高杉は口を拭った。

坂本は少し笑いながら、上体を起こした。


「痛い。」
「えっ、どこか痛いん所があるんか?」
「腰」

高杉の口調がハッキリしてきた。



「腰?」

「そーだよ、テメーがやり過ぎたから、腰が悲鳴を上げてんだよ。」
「おー、そりゃスマンかったのー。」
「ったく、体が動かねーじゃねーか。
 どーしてくれんだよ。」
「そんなこと言うんなら、わしの腕じゃて見てみぃ。
 おんしが昨夜に付けたキズでいっぱいじゃー!」
「なっ、それはテメーが痛くしたからだろ!
 俺は痛ェのは嫌だって前に言ったよな!?」
「だからって爪をたてることはないきにー!
 ホレ、背中まで傷だらけじゃあ!」
「テメーだって俺の首もとに跡付けてんじゃねぇ!
 これ一日中じゃ取れねーんだぞ!
 
 あと液はちゃんと拭け!ドロドロして気持ち悪いんだよ!」
「後で風呂に入るきにー、洗えばエエじゃろ?」
「体が動かなくて風呂どころじゃねーよ、バカ!」









いつの間にか夜の暗さは消え、
朝の明るさと2人の口喧嘩が部屋の中を染めていた。

















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恥ずかしいって言ったら、負けだと思ってる。((笑
ただ、ディープキスと禁止語句(?)を高杉に言わせたかっただけ、という目的が何にもないブツです。
ハイ、自重してきます^^

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