NOVEL〜コハク〜

□「特別じゃなくていい」
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特別じゃなくていい。
ただ、あなたの傍に居られるだけでいい。
ただ、あなたに使われる身でいい。


あなたの放つ光に、私はどこまでもついていきます。




「高杉ぃー!!元気にしちょったか〜?
 土産の酒を持ってきてやったぜよ!」
「堂々と俺の船に入ってくんな。酒だけ置いてサッサと帰れ。」
「アッハッハー、細かいことは気にするんじゃなかー!
 そんなにイライラしちょると、美味い酒も美味しくなくなるぜよー。」
「いちいち触んな!」
「めんこいのー高杉は。アッハッハー」
「いいから早く酒だけ飲ませろ。」





「今日も来ていますね、坂本さん。」

突然、また子の後ろに武市が話しかけてきた。

「いたんスか、武市変態。」
「変態じゃないです、フェミニストです。
 それよりいいんですか?」
「何の事っスか?」
「あの2人の事ですよ。」

クイ、と武市はあごで坂本と高杉をしゃくった。

さっきからずっと、また子の視線は2人に向けたままだった。

「また子さん、晋助様の事が好きなんでしょう?」
「そっ、そりゃモチロン大っ好きに決まってるじゃないっスか!」
「じゃあ、あの2人を見てて何とも思わないんですか?」



また子は言葉を止めた。

そしてフイッ、と向こう側の2人を見た。


坂本は、笑顔で高杉の頭をグリグリしたり、大声で笑ったりしている。
高杉は、怒鳴り散らしたり、あきれた顔をしたりしている。




「思うっスよ。」

また子の口が開いた。

「確かに、あのモジャモジャが晋助様の隣にいるのを見ると、
 いつも口惜しかったり憎かったり、うらやましかったり
いろいろ思うこともあるっス。」
「また子さん、じゃあ何で」
「晋助様が好きだからっス!!」



「あのモジャモジャといる時の晋助様は、とっても嬉しそうに見えるっス。
 あんな表情の晋助様、めったに見れることはないっス!
 だって晋助様はあのモジャモジャのことが好きだから。
 そして私も晋助様が好きだから。」


また子は少しうつむいた。


「私じゃ、かなわないから。
 晋助様にあんな表情をさせることは、私にはできない。
 確かに、晋助様にこの思いを伝えようとした事は何度もあったっス。
 でも私なんかが2人の間に入っちゃったら、晋助様の幸せが無くなっちゃうっス。
 私の気持ちなんかで晋助様の幸せを奪っちゃいけないんス。」

「また子さん・・・。」

武市が少し心配そうな顔をした。


すると、また子はクイッと顔を上げて笑った。

「それに、私は晋助様の下で働ける事だけで十分っス。」


また子は、自分の髪を片手でかき上げた。


「晋助様が私を必要としてくれている。
 これほど喜ばしいことはないっス!
 私は、晋助様の傍にいられることが本望なんスから。」



ふぅっ、と武市は息をついた。


「本当に好きなんですね、晋助様のことが。」
「当たり前っス!」








私は、いつまでもあなたを思っています。

いつまでもあなたについていきます。

それでも、絶対にあなたが私を見ることは無いでしょう。





でも、それでいい。




あなたが幸せになれるのなら、私はそれでいい。

だって、あなたの幸せの方が大事だから。


あなたの幸せを、失ってはいけないから。








































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なんか、また子がかわいそうですね。((笑
こんくらい、また子は一途だといいな・・・!

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