NOVEL〜コハク〜

□「窓辺の恋人」
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「よぉ〜高杉!元気にしちょったか?」

よく澄んだ快晴の空を眺めていた高杉の視界に、
黒くてモジャモジャした物体がアップで映った。

「てめぇ・・・、何でここに居るんだ。」

高杉は自分の部屋で窓辺にひじをついてキセルを吹かしていた。
その窓からイキナリ坂本が現れたのだ。

「つれないのォ〜、久々に恋人に会えて嬉しくないがか?」
「誰が恋人だ。」

静かに怒る高杉をそっちのけで、坂本は窓から部屋に入り込んだ。

「いや〜、本当に久っしぶりじゃの。前に会ったのはいつだったかの〜、2ヶ月前?」
「おい、質問に答えろ。」
「まぁ、元気そうで良かったぜよ。」

ニカッと坂本が笑う。

高杉は怒っていた自分が馬鹿みたいに思えた。
こいつのマヌケな顔を見ると、全身の力が抜けていくようだ。
脱力する。

「ったく・・・。来るんだったら連絡くらいよこせ。」
「ちょっとしたサプライズぜよ。」

坂本は高杉の頭を撫でた。
手の温かさが十分に伝わってきた。
身長差のせいか、まるで子供をあやしている親と子のようだ。

高杉は頭上にある大きな手を振り放した。

「撫でんな、ガキじゃあるめぇし。」
「なんじゃー、本当は寂しくてしかたなかったんじゃろ?」
「なっ、んなわけねーだろ。てめーなんざ居なくても一緒だ。」
「素直じゃないのー。」

どかっと坂本は座りこんだ。

「ちくとばかし甘えてもええきに。」
「そんな余計な世話いらねーよ。」

ハッと鼻で笑いながら、高杉も座りこむ。

「2ヶ月ぶりじゃあ、久々に語り合うぜよ。」
「てめーに話すことなんざ、何一つねーけどな。」



二人の間に沈黙が走った。



自分から語り合おうとか言っといて、話題一つ無いのかよ。

高杉は心の中で少しイライラしていた。

勝手に自分から来といて、座りこんだと思ったら黙りこむ。
いったい何をしに来たんだよ。

こいつはいっつもそうだ。
突然目の前に現れたと思ったら、すぐに帰っていく。
二ヶ月間も連絡一つよこしもしないで、急に現れて。

大体、自分勝手すぎる。
どーゆう神経してんだよ、こいつ。
勝手気ままなこいつに振りまわされている自分がイヤになる。


「高杉」

ふいに坂本がつぶやいた。

「すまんかったの。」

さっきまでとは違い、細々とした声だった。

「そんなに怒っちょるとは思わんかったんじゃ。」
「別に怒ってなんかねーよ。」
「いんや、絶対に怒っちょる!」
「怒ってねーつってんだろ、しつけーぞ、お前。」



その時だった。


急に坂本が立ち上がり、高杉に抱きついた。
すっぽりと高杉は坂本の腕の中に収められた。

「おまっ、何だよ急に。」

「愛しちょるぞ高杉」


ハッキリとした口調だった。
急に抱きついてきたと思ったら、愛の告白かよ。
どこまで自分勝手なんだよ、こいつは。

「ふざけんのも大概にしろ。大体お前・・・」
「おまんはわしのことが好きか?」

高杉の言葉が途切れた。

「こんなわしでも、まだ好きか?
愛しちょるって言われて嬉しいか?」


何でそんな事を聞くんだ。
それを言いたいが為に、ここまで来たのか。


ちらっと、目線を上に上げた。
坂本の心配そうな目が、こっちを見ていた。



「嬉しくなんかねーよ。」

「!!??」

えっ、と坂本は情けない声で驚いた。

「2ヶ月もほったらかしにしといて、何が愛してるだ。」
「高杉ぃ・・・。」

冷淡な高杉の言葉が、ドスドスと坂本の心に突き刺さる。




「ただし」



「二度と窓から現れないようにすりゃあ、少しくらいは嬉しくなるんじゃねーの。」

「!!」


にぱぁ、と坂本の顔が明るくなる。満面の笑みだ。

「おう!もう窓からは入らんようにするぜよ!
今度は天井から現れるきに!」
「どっちも同じだろ。」
「いんや、天井は天井じゃあ!今度来る時もサプライズぜよ!」

立ち上がり、坂本は両手を大きく振り上げた。

「今度は土産もい〜っぱい持ってくるきに!」

有頂天で舞い上がり、大口でアッハッハと笑った。


高杉は嬉しさのあまり踊っている坂本を見て、二ヤッと笑った。

「辰馬ァ」

「ん?」

坂本はくるりと振り返った。



「愛してるぜ」




きょとん、坂本は丸い目を見開いた。
そしてニッと口角を上げて笑った。



「わしも愛しちょるぜよ、晋助」

「ハッ」

高杉はまた、キセルを吹き始めた。





「わしゃあ幸せもんじゃの〜♪
そうじゃ、高杉。」
「あ?」
「わしのどこが好きじゃ?」

ニヤニヤと笑いながら、坂本は高杉に近寄った。


ふぅっ、とキセルの煙を口から吐き出す。


「そうだな、金持ちな所。」
「お金!?」
「あと、土産の酒が美味い所。」
「わし関係ないぜよ!」

残念がる坂本を、高杉はさも面白げに見つめていた。







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恥っずかしいーー!!なんだこいつら、結局バカップルみたいになっちゃったよー。
ばばっと書いたから、イマイチ何が言いたいのかよく解からん内容になっちゃいました・・・。
でもすっごい頑張りました!
一応、記念すべき第一作目でした。

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