SS置き場

□SS集1
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【悪意皆無の〜おまけ】


「ネウロ〜…」

「なんだ?」

「こればっかりは嘘じゃなくて…リアルに血が足りない…。」

「む…止血が遅かったようだな…。」



 いつ止血なんかしてたんだと思いはしたものの、ぶっちゃけ脳に血が回らなくて意識が朦朧としているせいか、そんな細かい事を気にする余裕が無い。


 身体を相手に預ける形で力無く寄り掛かっているのが最早精一杯。
 目を開けているのも辛くてゆっくり目を閉じる。



「医者に見せるか…」

「どうやって説明すんのよこの傷…」

「む…。」



 明らかに動物の物とは違う歯形。
 専門職である医者に見せたら何があったか聞かれるに違いない。


 ふとネウロが私を抱き抱えながらおもむろに立ち上がった。
 動かされた腕に痛みが走り小さく呻き声を上げてしまうと、優しく額に口付けられてソファにゆっくりと降ろされる。
 所謂お姫様抱っこと言うものを初めて体験したのだが、なんというかこんな時だというのに恥ずかしくて仕方がない。



「あ…ありがとう。」

「…別に構わん、寝ていろ。」

「あ、うん。」



肩は相変わらず痛いけど
ネウロが優しいなら
こんな痛みも良いかもね



 なんて可笑しくて、つい笑い声を溢してしまう。


 見上げれば怪訝そうな表情で見つめてくるネウロと目があった。
 多分「何が可笑しい」とか思ってるんだろう。



「何が可笑しい。」



   ほら、ね



「ネウロが優しいなぁ…って思って、嬉しかったのよ。」

「む、我が輩はいつでも優しいだろう。」

「どうかなぁ…」

「何か不満か?」

「あ、ごめんなさい!」



 いつもなら既に頭を締め上げられてる頃な筈なのに、やっぱり傷を気にかけてくれてるらしい。


 きっと私は、魔人のこんな所に惹かれてるんだろう…そして二度と離れられない魔力がある。
 出来ることなら彼の瞳に囚われたままで死にいきたい。


   だからね

 今死んでしまっても 

私は、幸せのまま逝ける
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