捧げ物
□盲信的信頼関係=両想い
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この世の地獄と言っても差し支え無いと私が個人的に思っている【期末試験】も最終日を迎えた。
毎度毎度ギリギリで何とか乗り切っているそれを、今回もやはり危険な感じで終わらせるだけ終わらせた。
どんなに疲れていようと事務所に向いてしまう私の足を褒めるべきなのか…気力も体力も大幅に削られて、私は事務所に着くなりソファへと倒れ込んだ。
「あ〜ぁ、疲れた!」
「遅い、謎の鮮度が落ちる。早く現場へ向かうぞ。」
疲れてるって言ってんのにこの魔人は…。
「はいはい…。」
「今回のは中々芳しい香りのする【謎】なのだ。貴様がナメクジの如くのろまなせいで逃したらどうする。」
「ぎゃぁぁあっ!?」
私の頭くらいならすっぽりと包んでしまう大きな手で私を掴み上げて、ついでとばかりにギリギリと握り絞めて来る。
そのうえネウロに運ばれているせいで地面に足がついていない私は、重力に従って下へと引っ張られているので身体と頭の接合部がちょっと危うい感じだ。
「分かった分かったからとりあえず離して!」
「ふん。」
「ふぎゃっ!」
移動距離削減の為か私を放り投げる場所は扉近くで、もちろんクッション性のある物がある筈が無くて、私は思い切り身体を打ち付けた。
恨めしげに相手を見ても何の反応が返って来る訳でも無いし、これ以上ダメージを受ける前にさっさと立ち上がる。
「…っ…?」
ほんの少し、足に違和感を感じて動かせば軽い痛みを覚えた。
あからさまに投げられた時に捻ったのだろうが、それを訴えた所で今の状況に変化が訪れるとは思わない。
それに第一…
「何をしている、またその足りない頭を掴まれたいか。」
「はいはい、今行きますっての!」
「ふん、出来るならば最初からやれば良い。だからいつまでも貴様はウジムシだ「分かってるから早く行こうよ…――謎なんでしょ?」
「…そうだな。」
第一、この男がこんなに嬉しそうに笑顔を見せているなんて久しぶりなのだからちょっとの痛み位で弱音なんか吐けない。
なんだかんだ言っても、私は、こいつのこんな子供みたいな所が好きなんだ。