氷菓


□怪我
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<摩耶香目線>


私は今折木とちーちゃんと
一緒に保健室までの道のりを
足早に進んでいる。


「念のためよ。念のため。
ふくちゃんに限って
そんな事有り得ないけど・・・。
もしかしたらもしかするかもだし・・・!!
世の中何かあってからじゃ
遅いのよ。ね、折木!!」

「あぁ、そうだな。」


そうよ
何かあってからじゃ
遅いのよ。

特にふくちゃんは
結構自由奔放なとこも
あるから・・・

でも、私はそんな
ふくちゃんだからこそ
好きになったの。

・・・。

てか、そもそも
折木がさっさとめいちゃんに
告らないからこんな事に
なってるのよ。

たぶん折木がめいちゃんを
好きだって事は本人以外には
みんなバレバレだと思う。

そして、めいちゃんも
折木が好きで2人は両想いだと
言うことも。


・・・何が省エネよ。

同じクラスになってもぅ
1年近く経つじゃないの。

なのに、ここまで来ても
まだ気持ちを伝えないなんて
もぅ省エネ通り越して
ただのヘタレじゃない。

めいちゃんは一体
アレのどこに惚れたのかしら。
不思議で仕方ないわ。

とにかく。
これはもぅ
折木だけの問題じゃない。
私が安心してふくちゃんを
好きでいるには
折木とめいちゃんが
付き合うしかない。


それがきっと
私とふくちゃんの未来にも
つながるんだから・・・。


だったら・・・私は・・・



「摩耶香さん。
着きましたよ。保健室です。」


「あっ・・・うん。
ありがとう。ちーちゃん。」


そぅ言って私は
息を整えながら
ゆっくり
保健室の扉に
手を掛けた。












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