遊び場
□もしもの3章
1ページ/6ページ
それからしばらくして遠くにビルらしきものが見えた。そこにいけば人に会える、そう思った二人の足取りは軽くなり向かった。
ドンドンビルは近くなり・・・肉眼で確認できるところまで来た二人は目の前に広がる光景に唖然・・・
遠くでみたビルは驚くほど高く・・・そして、その周りには見たこともない飛行物体が飛んでいた。例えるなら・・・気球船。もっと詳しくいうと屋形船にジェットエンジンが付いていて、そこからつるされているのぼりには【おいでませ☆歌舞伎町!!】と書かれていた。
みぃ「か、歌舞伎町?;ちょ・・・なんで東京の歓楽街の地名が書かれたのぼりが?」
めだか「ごくり・・・。ちょっとまて?いやいやでも・・・いや、そうか・・うんそうだ!」
めだかは一人でぶつぶつと何かを言いながら自問自答を始めた。まったく意味がわからないみぃはその異様なめだかの姿を困った顔で見ていた。そしてめだかがぽんっと手を叩いた。
みぃ「めだか、どうかしたn・・」
めだか「いくぞ、みぃっ!急げ!私の考えが正しければ【あの人】がいるはず!!ww」
みぃ「Σ!!?ちょ・・・めだか!?なんかいつもよりも声のボリュームがデカい・・ってか目がアニメ張りに輝いてんですけどっ!;」
めだかはみぃの手をとり、引きずる様にして歌舞伎町目指して走り出した。(みぃは途中で転んで本当に引きずられた。)
<おちゃわんのターン:ぶっ飛んだわねwww>
ーー侍の国。僕らの国がそう呼ばれていたのは今は昔の話。かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には、今は異卿の船が飛び交うーーーーーー
めだかの脳内ではソラで覚えた言葉がヘビロテしている。
この道を真っすぐ行ってあの角を曲がれば…
なんとか体制を立て直し、みぃは息をきらしながら、めだかに手を引かれ走っていた。
みぃ「はぁはぁはぁ…めだかっ!こんなに急いで、ドコに向かってるの!?ちょ…休もうよ!ぜーぜー」
走りながらみぃに振り向き興奮を抑えられないと言った様子でめだかはみぃに説明し始めた。止まって余裕なんてめだかにはない。
めだか「まだ分からないの?ニブチンね…はぁはぁ…ここは、リアル世界のキャッチだらけで無駄に話しかけてくるナンパ野郎が集う歌舞伎町とは訳がちがーーーーーーーーーハブシっ!!!」
言い終わる前に柔らかい物にぶつかり、反動でみぃのアゴに頭突きがヒットした。だが、みぃのアゴはアゴのみ防御力1000を軽く超えている。みぃは尻餅を付いただけで済んだ。
みぃ「いたたた…めだか大丈夫?ちゃんと前を見て走らないからだよ?もう…」
めだか「ごめん。みぃがクッションになってくれたから大丈夫。」
みぃ「まったくーーー。…!!!!!!はわわわわわっ!!!!!ひじひじひじひじひじひじっ!!!!!」
めだか「え?!大丈夫!?ひじ怪我したの!?それとも交互に見てとか言う気じゃないでしょうね」
みぃは首をブンブン横に振ってめだかが、ぶつかったであろう柔らかい物を指差す。指差す先に居たのは開き気味の瞳孔、片手にはタバコを手にした真撰組副長、土方十四郎その人だった。
土方「おい。お前ら大丈夫か?…悪かったな余所見してた。って…お前は…」
みぃ「土方さんっ!!」
めだか「っ!!」
みぃは土方に抱きつこうとしたが、めだかは裾を引っ張りそれを止めた。もうこのパターンは完全に把握しためだか。
土方「うわっ!あっぶねー…なんだ?オレを知ってるのか?なら話は早え…おい総悟。」
沖田「へい、なんです?土方さん」
土方「アレ持ってんだろ?出せ」
沖田「あー、アレですかィ。もちろん持ってやすぜィ。えーっとどこだったかな、えーっとアレアレ…あっ!すいやせん。アレ、以前高校んときの同級生がアレをアレしたいって言うんで三年前タッパーに入れて送りやした。いやーうっかりしてたな」
土方「おい、総悟。アレがわからねーんならさっさと言いやがれっ!しかも、アレしてアレって何だよっ!作り話にもほどがあるだろうがァ!!大体テメェはっ!!…ち……まあいい。こんなことしてても、らちがあかねぇ…」
そう言って土方はタバコに火をつけた。
いつもはテレビでしか見る事の出来ない土方さんが目の前に…素敵…火をつける仕草がなんともカッコイイ!!御飯三合は軽いな…
そんな事を思いながら土方と沖田のやり取りを見つめていた二人だったが次の土方の一言で凍り付いた。
土方「総悟。手錠。」
めだか「!?!?!?」
沖田「なんでィ手錠ですかィ、それならそうと早く言って下せェ。へい。」
土方「………あぁあぁオレが悪かったよっ!……クソっ……あー午後3時40分っ!公然わいせつ罪により、現行犯逮捕。そんな裸みてェなカッコで街ほっつき歩かれたんじゃァたまったもんじゃねェ、屯所で取り調べうけてもらうからな。天人かぶれにも困ったもんだ…」
カチャ…
頭が真っ白になった…
目の前で友達が手錠をかけられている。こんな光景を見るはめになるなんて…、目から熱い何かがこみ上げてくるのがわかる。次の瞬間、叫んでいた。
めだか「まってください!何かの間違いですっ!…代わりに私を…!!!」
みぃ「めだかっ!!」
みぃはめだかの言葉を止めた。呆然と立ち尽くすめだかに意外な言葉をかけた。
みぃ「私なら大丈夫だから♪あそこであの人達と待ってて♪」
ーーーーえ?
めだかの心配とは逆に、みぃはやけに嬉しそうだった。
みぃ「ささっ、行きましょう土方さん♪マヨの美味しい店知ってますか?♪」
土方「お、おいっ。なんだ?あんまりくっ付くなって!」
巡回していた真撰組はみぃを連行して屯所に向かって歩く。めだかはその光景をただただ呆然と見守っていた。
※ ※ ※
めだか「おっちゃんっ!…ヒック…レッドアイもう一杯っ!あとタバスコもっ!」
めだかは橋の下の屋台でうなだれていた。酒は弱いが飲まずにはいられない心境だった。レッドアイとはビルーをトマトジュースで割った子洒落たカクテルだったが、なぜかオンボロ屋台のメニューにあった。
屋台のオヤジ「お客さん…もう、やめといた方がいいんじゃないですか?あまり良い酒とは言いがたいですよ…」
めだか「いいのよっ!友達が…ヒック…目の前で手錠される私の気持ちなんて…ヒック…誰にも解らないんだから…ヒック…飲まずにいられるかってーの…」
カウンターに突っ伏しながらグラスにのこった酒をあおった。
めだか「しかもっ!こっちは心配してるのにウキウキしながら付いてったってどう言うことよっ!」
屋台のオヤジ「…はぁ…」
ジャリ…
銀時「まあ、いいじゃねーかオヤジ。こちらの嬢ちゃんにオレから一杯馳走してやるよ。嫌な事は酒飲んで全部流しちまえってなっ。オレにも一本つけてくれ」
屋台のオヤジ「銀の旦那ひさしぶりだねー。あいよいつものねっ!」
のれんを潜って私の隣に座ってるのは…ヒック…万事屋の坂田銀時…?
銀時「ん?どうした?それにしても今日は冷えるなー」
めだか「幻覚か…ヒック…そうれすねー冷えまうねー。あなた万事屋さんの銀さんれしょ?」
銀時「ん?そうだ嬢ちゃんオレの事しってんのか?」
屋台のオヤジ「あいよ。銀の旦那からレッドアイとこれは旦那のいつものねっ」
銀時「わるいなオヤジ。んで?嬢ちゃんは困りごとか?それなら、万事屋銀ちゃんことオレに話してみちゃどうだ?困ったときは何でも解決…助けになってやるよ」
ろれつの回らないがお礼を言って酒を一気に飲み干した。
めだか「私はね嬢ちゃんじゃなくって[めだか]って名前があるんれすよ!それに、もういい年れすっお酒だって…ヒック…」
銀時「わかった、わかったから。悪かったなそれじゃあ、めだか。ご依頼はなんでしょう?」
めだか「えっとねーーーーーーーー」
バタン
めだかは銀時に倒れ込む様に意識を失った。
銀時「おっと…はぁ…世話のかかる御依頼主だ…」