BOOK1《後編》

□三十四
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ハアハアハア 喉が焼けるように熱い

「女名無し…よぉ、聞いてくれ。儂がそこの通りに出て、時間を稼ぐき、おまんはへんしも逃げや」

新撰組の隊士に追われて、ここまで逃げてきた。私の様子を見た龍馬さんが、大通りから辻を曲がって、筋にはいり、細い路地裏に逃げ込んだ

桶を六つ三角に積んだ防火用水の影に隠れ、斬りつけられ、血が垂れる腕を押さえて、龍馬さんが私を背にして言う

「ハアハアハア…イヤだよ…私も龍馬さんと戦う!」

正直、限界だったけど、無理だと分かっていても、龍馬さんを守りたい。こうなったのも、私が現われたお寺を探していたからだもの

「イカン!新撰組は烏合の衆ではないが、おまんでも捕らえられたらどうなるか分からんき!」

「龍馬さんが捕らえられたらどうなるの?」

通りを向いたままの龍馬さんはきっと、困ったように笑っているのだろう

「・・・・・逃げろ」

木塀に沿って通りに向かって歩き出した時、木戸が開いたかと思えば、白い手がにゅっと伸び、龍馬さんの腕を掴んで引きずりこんだ

エッ…慌てて駆け寄ると、綺麗な女の人が私の手を引っ張っり、慌てて木戸を閉め

「な、何…」




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