BOOK1《後編》
□三十三
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「貧血と、寝不足と栄養失調だって。女名無し、酷い顔してる…
此処まで、部長が抱き上げて運んできたんだよ。血相変えてさ」
「・・・」
「…先生よんでくるね。ついでに荷物も取ってくるよ」
先生が入ってきて、椅子に腰掛け、静かに説明を始めた
「−−というわけで、しっかり睡眠と食事を取って下さいね
薬の処方もできるけど…
ちゃんと検査してないから、確かではないですが…女姓無しさんもしかして−−−」
(男名無し side)
北山さんがベッドサイドで居座る俺に、厳しい視線を向けて
「私がついていますから、部長はどうぞ仕事に!海外だろうが、宇宙だろうが、サッサと行け!!」
今にも噛み付きそうな、勢いでグイグイ背を押して退室を促された
仕事中も、倒れた女名無しの様子が気になって、落ち着かないでいると
「部長、女姓無しさんの意識が戻ったので、家まで送ります」
と報告する北山さんの、瞳は怒りと苛立ちを、あからさまに俺にぶつけている
女名無しを家まで送ると言って、医務室に向かおうとする北山さんを、廊下で呼び止め、なんとか説き伏せて
荷物を預かり、代わりに医務室の前に立ち、ノックしようとして、中の話し声に手を止めた
「…ーだと思うの。無理でも、食事を取って」
「・・・」
「戸惑うのも解るわ。もう少し様子を見てみましょう。何でも相談にのるから」
「…はい」
コンコン
「失礼します。先生…部下がお世話になりました――」
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