BOOK1短編
□もしも…の未来 part3
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案の定、岩田のおばあちゃんがくれた野菜は、私一人では持ちきれないほどで
ビニール袋の持ち手が指に食い込んで、ポトリと落ちるかも知れないほどだった
沖田さんは、自ら進んで重い袋を持ってくれて
「あんたイイ男だねぇ。7年前に死んだ、うちのじいさんみたいだわ〜」
アララ 岩田のおばあちゃん、ほんのり頬染めて沖田さんを見上げちゃって…可愛い
またしても、ご婦人方にキラースマイルを振り撒き、無意味に沖田王子ファンを増やしてるし…
沖田さんは口は、めちゃくちゃ悪いけど、本当は優しい…なんだかんだ言っても、面倒みいいし
道路脇の田んぼを眺めながら、西陽に目を細め、お気に入り歌手の新曲を口ずさむ
途中までしか、歌詞を知らないから、ハミングにかえれば
「音痴名無し!知らないなら歌うな。もっと道の端を歩け!危ないだろ」
何よ!子供じゃあるまいし、車がきてるかどうかぐらいわかるっての
「こんな道、スピード出して走る車なんてこないよ!」
素直に返事出来ない私は、振り返りあっかんべーをして、走り出した
「! チッ ぁのやろ…」
私の後ろで、舌打ちの音が聞こえた
重い荷物を抱えては、思うように走れないだろうから、沖田さんをこの辺に、置き去りにしてやろうと走り出したのに
チラリと振り替えれば、凄い勢いで近づいてきた!!
ひーン ゴメンなさい
めっちゃ怒ってるし…
西陽が眩しくて、猛スピードの車が近づいて来るのを、気づくのが遅れた
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