BOOK1《前編》
□プロローグ
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あっ…また…あの夢だ
あの時代の夢を見ると、楽しくて、嬉しくて
そして、切なくて…
夢と現実が区別出来なくなってしまう
喉の奥に、何か大きな塊が、つっかえているみたいに、苦しくなって…
でも、夢の中でまた、あなたに会えたことが、幸せすぎて…
もう、私の意識は夢の世界から、どんどん浮上してしまっているのに
夢の世界に浸っていたくて、瞼にギュッと力を入れた
瞼の向こうからは、カーテンの隙間からもれた、お日様が
あの夢にしがみつく、わたしの意識を引き剥がす
瞼に当たる光は障子からのもので、目をあけると
懐かしい木目を背にした、愛しい彼が
優しい微笑みを携え、わたしを覗きこんでくれるはず…
そんな妄想を必死に描いて、情けなく足掻く
目覚まし時計と、携帯のアラームの音が、私の枕元でけたたましく鳴り響いた
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