BOOK1《後編》
□三十九
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「守ったところで 女名無しはアンタの下へだけはもどらねえよ
他の男に何度も抱かれた自分を卑下していたんだからな」
それまで、青年を羽交い締めて、傍観していた土方が、口を開き青年を解放した
「俺と女名無しの問題だ!あなたには関係ない」
女名無しを語る土方に腑が煮え繰り返る
「フッ……確かに関係ないが……
俺はコイツが抱いた後の、ボロボロの女名無しを知ってんだ
ずっと、泣きながらアンタの名前を呼んでたぜ
『男名無し』ってな
憎む男に散々弄ばれ続けた自分を、許せねぇでいる女名無しが
何も無かった様に戻るとは思えねぇな
そう言う女だろ女名無しは」
生々しい状況に、増悪と嫉妬で気がおかしくなりそうだ……
何か言い返そうにも言葉など出てきやしない
ギリッと奥歯を噛みしめ、苛立ちに拳が震える
身勝手な沖田に
的を得た土方に
守ってやれなかった、不甲斐ない自分に憤りしか感じない
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