BOOK1《後編》
□三十八
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(高須 side)
産婦人科医の診断は、無理な性交による出血と
精神面での極度の疲労、栄養失調により胎児の成長が遅れていて、危険な状態である
暫く入院が必要だと報告を受けた
眠る女名無しの、青白い顔を見ると、以前のような、健康で魅惑的な身体は、痩せすぎて
交わす瞳に生気が感じられなかった
手首には、縛られた痣まであり
このままでは、腹の子はもちろん、母体も危険に晒されるだろう
女名無しの様子をみに病室に向かうと
細っそりしした身体つきの、スーツ姿の美しい男が
躊躇いがちに女名無しの頬をそっと撫で、愛おしむように、額にキスを落として何か呟いた
病室の入り口の壁にもたれて、男が退出するの待つ
きっとこの男だ
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