BOOK1《後編》
□三十五
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(中岡side)
男名無しちゃんよりも、一足早く出張していた俺は、ようやく一時的に、日本に帰国する
俺の隣の席にいたのは、石田のヤローだった
女姓無しさんの麗しい姿を、久しぶりに拝めると思っていた俺は、一月も前に彼女が退職していた事を初めて知る
唖然としていると石田が
「支社長と北山さんが、話してるの、偶然聞いちゃったんですよね…
お母さんが、病気でそう長くないって。看病したいから、辞めたって
女姓無しさん自身も、体調悪いみたいでしたよ。酒元部長が、転勤する前日に倒れましたからね…
北山サンも、もうじき寿退社か、本社に移動するだろうし、ハァ〜何だか……」
石田の話はもう、聞こえてこない
男名無しちゃんの赴任決定直後から、二人がギクシャクしている空気は何となく感じていた
そのあと直ぐに、俺は出発したので、状況が掴めない。北山サンに事情を聞いてみるか…
男名無しちゃんは赴任先で、仕事をこなしているが、時々上の空で、見るに堪えないほど空元気で…何かしらあったに違いない
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