BOOK1《後編》

□三十一
1ページ/6ページ


(酒元side 1 )

女名無しの居ないベッドに横たわっても、眠りが浅い

早朝に出勤して、彼女が早くに出勤する事を願うが

それを見越したように、女名無しは出勤を、遅らせているようだ

先日のパーティーで、沖田に腰を抱かれ、肩にキスを受ける女名無しを見せ付けられて

全身の血が逆流し、頭がおかしくなりそうだった

俺と別れて、沖田と付き合いだしたのか?!

あんなに、沖田に恐怖していたはずなのに……

悶々と、雑念が思考を支配する。未練たらしいと自嘲しながら、自然とため息が出た

メールをチェックし、デスクの上の書類を処理していくと、不意に郵便物の封筒が目にとまる

封をを開ければ、中から数枚の写真が、デスクに滑り落ちた

ッ…!!!…日付は、俺が海外出張中だ。何て事だ…言葉が出てこず、額に手を置く

この時には女名無しの気持ちが、俺から離れていたのか?

いや、違う。あんなにも、激しく求めあったのだから

それとも、俺が秤にかけられていたのか?

日付などどうにでもなる・・

女名無しと沖田が熱くキスを交わす写真を持つ手が、怒りと戸惑いに震えている

写真を封筒に突っ込んで、捻じって捨てた





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ