BOOK1《中編》
□二十二
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朝焼けがカーテンの隙間から零れて、男名無しの部屋を染めていく
寝ぼけた頭で、数時間前迄の事を思い出し、けだるい身体の意味を知った
確かに身体のあちこちが痛くて
私の中心に、男名無しを象ったような、感覚が残っているし、倦怠感も凄まじいけれど
そのどれもが、愛して貰えた証で、神聖で愛おしい
私を抱きしめて眠る、胸板に擦り寄って、唇で肌の感触を確かめた
「…ウん?…フハッ。くすぐったいよ…この子はかなりの、悪戯っ子だな…
それとも、まだ足りないのか?」
頭とオデコに沢山キスが降ってくる
「もぉ無理…起こしちゃってごめんなさい!」
「もう少し、眠っていいか?」
「うん。そう…して……ヒャ…ゃ…ちょ、も…んぁ」
眠っていいかって、きいたくせに…
私の胸の尖りに、キスを落とし、そのまま顔を埋めて、ヤワヤワとモミしだいた
部屋が完全に明るくなるまで、繋がっては、また意識を飛ばす
*
「何処、行きたいところはないか?」
私の腰を後ろから抱き、うなじや、背中にキスをする男名無しの声が、浴室に響く
「お腹が空きました…」
少しむくれながら答える私は、もう泣き声だ
あんなにも、嫌がったのに、お風呂に連れ込まれ
今日のところは、此処でするのは勘弁するから
全身洗わせて欲しいと、交換条件のように言う、男名無しに
何を言っても無駄だと悟り、じっとしていたら
嬉々として、手の平に洗剤をつけて鼻唄交じりに、身体じゅう洗ってくれた
恥ずかしいから浴槽に、逃げると、男名無しも後を追って入る
大人二人が、入れるからって…ブツブツ言っても
満点の笑顔を向けられれば、何もかも許せてしまう
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