BOOK1《中編》


□番外 中岡視点(前編)
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「本社から移動して参りました、中岡慎也です…」

1年半前、システムの改善と市場調査という

訳の分からない名目で、支社の内情調査に、本社から極秘で送り込まれた

約2年前の合併という名の吸収は、沢山の弊害も残るもので…

半年後に重役の誰かがやってくるまでの、下地準備

俺としては、去年入社した、新入社員の中で

顔もスタイルもダントツの姓無しさん・超可愛い北山さんがいる、支社への移動で、内心浮かれていた

本社での研修中、彼女達はその容姿だけでも、知らない人間はいなかった

その一人、姓無しさんの隣の席になるなんて、ツイテル!

神様っているのかもしんない。毎日の仕事も愉しく出来そうだな

二人とも真面目に、よく働くし、新人ながら仕事も出来る

姓無しさんと北山さんは仲が良くて、休憩時間や終業後は、二人で過ごす事も多いようだ

隣の席から、雨の日に時々、微かに薫る甘く爽やかなフレグランスの香りに

姓無しさんを感じ、頭の芯がボーッとなる

何気なく向けられた視線に戸惑うし

彼女が笑うと嬉しくなるし、笑顔を守りたいとさえ思う

毎日、隣の席で彼女と僅かに交わす会話に、一喜一憂していた

そして彼女の笑顔に癒された

そう姓無しさんは、いつも会社では笑顔を絶やさないんだ






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