BOOK1《中編》
□十九
1ページ/8ページ
そうして、彼は私との出会いを話し終え
「沖田さんは、私にどうしろと…?!」
「あんなに殺気を放つ少女は…、いや人間はそうは居ない。現代のこの日本ではね
そうだな…まるで侍のようだった
其処に興味が湧いたのもあるんだけど
実は初めてあった時、君に一目惚れしてね
…そんなこと、実際にあるんだね
自分の気持ちに気付いたのは、君が剣道を辞めたと伝え聞いたあたりだけど…」
お洒落なイタリアンレストランの個室は静かで
本来なら落ち着けるはずの、ゆったりした椅子に、身体を硬くして、私は話を聞いた
「偶然の再会なんてそう有るもんじゃないと思ってね
僕と付き合って貰えませんか?」
あまりに突然の話に、声も出せず、目を見開いた
「…ごめんなさい。私、恋人がいますから…
それに、沖田さんとはお会いしたばかりですし
沖田さんも、私をそれほどご存じないでしょ?!」
男名無しさんと付き合い始めて、約1ヶ月
デートは、ほとんど仕事に邪魔されてるけど、恋人って言っても良いよね…
.