BOOK1《中編》
□十八
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週末に戻ると言った男名無しさん
早く会いたい。あの笑顔がみたい。そう思ってしまう
仕事に集中して、寂しい気持ちを紛らわす
木曜日、山中係長と一緒に展示会の応援に、急遽、同行をたのまれた
私が仕事で社外に出るとすれば、大体こういうパターンが多い
展示ブースの受付や紹介、お得意様の接待にあたる
「姓無しさんは美人だから、其処ら辺のブースに居るコンパニオンなんか霞んじゃうね〜」
誠商事の重役、近藤様に、おだてられ愛想笑いで答え
「今日は我が社のホープも同行させたんだよ
姓無しさんの話をすると、やけに乗り気になってね
お〜い沖田君!こっちへきたまえ。こちらの女性が、噂の姓無しさんだよ
我が社にも君のファンが多くてね…
じゃっ、あとは二人でよろしくやってくれ。私は他をまわるから」
同い年位の男性が近づいてくる。背が高くて、線が細いイメージ
「初めまして。姓無しです。宜しくお願い致します」
「僕は貴女を存じてますよ。随分前からね」
「えっ?」
「僕は大学まで、剣道をしてましてね
姓無しさんも高校生まで、剣道をされてましたよね?!
そして突然、辞めてしまわれた」
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