BOOK1短編
□10000番 紗夜様 リクエスト
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就業後、男名無しとの待ち合わせ場所の近くの、花屋さんを覗いた
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「めおとになってくれんか?」
片膝をおって野の花の小さな花束を、私に捧げてくれた龍馬さんは、頬を染めて、照れ臭そうに微笑んだ
「もっと早ように、ぷろぽーずしたかっ…‼ どっ、どっ、どういた?名無し 何処か痛むがか?」
摘まれた花が、水桶に放されていたのを知ってる…
龍馬さん、私のために…この時代の男の人は、そんなことしないのに
長崎のグラバー邸を訪れた時、龍馬さんと庭を散歩中
偶々居合わせてしまった、見知らぬ外人さん達のプロポーズのシーンに、私は非常に感動し憧れたのだった
それを覚えていてくれたんだ!凄く嬉しい…龍馬さん大好き…
「はい、龍馬さん…お嫁さんにして下さい」
受け取った花束に、ポロリと頬から滑る涙が落ちたけど
「おまんが共に居てくれれば、わしは他になーんもいらん」
喜ぶ龍馬さんが私を抱きしめ、顔中キスを浴びせ、零れる涙はアッという間に唇が拭いとってくれた
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