BOOK1《前編》
□八
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少し食料品を買いたい、と言う酒元部長と、スーパーへ寄る
カゴの中に、お酒とおつまみばかりを、ポンポン入れていく部長に
「あの…家で食事はされないんですか?」
フッと苦笑をもらし
「自炊が苦手でね。作ってくれる人も居ないし
家には寝に帰るだけで、たまの休日は、酒飲んで寝てる」
どおりで、引っ越しの片付けが、滞るわけだね
「私で良ければ、何か作りましょうか?
簡単な物しか作れませんけど…」
せっかくの、お休みに時間割いてもらったんだし
「エッ!本当に?!いいの?じゃあ、言葉に甘えて――」
ピコンと頭に犬耳のようなものが、たったように見えたのは、私の目の錯覚かな?
嬉々としながら、希望の献立の材料を買い足して
再び部長のマンションへともどった
引っ越しの、片付け作業を始める
箱の中身を、家具に収納していく。大半は本と衣類
それほど時間もかからず、最後の一箱を開けようとした時
酒元部長が一瞬、苦い顔をして
「あぁ…それは、そのまま、置いといてくれていいから…」
「でも…」
「男の必須アイテムを、入れて有るから…試してみる?」
ブンブンと頭を左右にふる
部長は無理に笑顔を張り付けたように笑った
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