BOOK1《前編》
□十三
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何でこんな事になってるんだっけ…
私の前で桜子と、婚約者の裕也君が並んで座り
桜子は裕也君を睨んでいるし…
私の隣にはニカッと笑って、こっちを見る高須さんという男性は、会うなり
「俺の嫁にしてやる」
そう言って、頭をポンポンと撫でた
「ヘ?…初対面…です…よね…?!」
「君は、そうかも知れないが、オレは知っているぞ」
どうなってんの?と桜子に視線を向けると
あまりの事に、ポカンとしている
桜子さん…お口が開いてます…
裕也君が、口の前に拳をあてて、クックッと笑いを堪えて説明する
「ごめんね。いいやつなんだけど、慌て者でね
おい晋吾〜。自己紹介する前に、何いってんの?
名無しちゃん吃驚してんじゃん!
ごめんね〜名無しちゃんを何処かで見掛けて、好きになったんだって」
食事をしながら会話しようにも
桜子は裕也君と高須さんを、ずっと交互に睨む
裕也君は、その鋭い視線に、居たたまれなくなって
とりとめのない、世間話をしようとするも、桜子が短く返して続かない…
高須さんは、食事を口に運びながら
私をずっと見る。目が合えば、ニカッって笑い、色々話しかけてくる
その返事も桜子が、噛み付くように短く答えて話を遮る
桜子の中で、高須さんは変人とか、要注意人物としてインプットされたようで…
それでも高須さんは、ニカッと微笑む
何処であったのかな…?この微笑み方を知ってる
高須さんを、全く知らないでも無い気がする…
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