BOOK1《前編》
□プロローグ
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たまたま、神社を通りかかった人が
注連縄の近くの茂みで、気を失って、倒れている私を見つけ
救急車を呼んでくれたらしい
目を覚ました私は、訳の分からない事を、口走り
泣き叫び、随分、興奮状態だったという…
事件か何かに、巻き込まれたのかもしれないと、思われた為の、措置だったらしい
病院で、意識を取り戻す度に私は、泣き叫び暴れ、安定剤を打たれていた
夜中に目覚めた私は
薬品の匂いが微かに香る室内に
天井に嵌め込まれた照明に
自分が横たわるベッドに
被せられている軽く、暖かい上布団に
元居た現代の物に、まざまざと思いしらされた…
彼の、引き締まった身体に包まれ
穏やかな時間を、共に過ごす事は、もう…叶わないのだと…
もう、会えないのだと…
日だまりのような笑顔で、笑いかけてもらえないのだと…
朝、病室に現れて、不安げな視線を、私に向ける母に
無理に作った、笑顔を張り付けて、微笑みかける
『心配かけてごめん…急に体調悪くなっちゃったみたい…エヘヘ』
夜中に意識が戻って、混乱する頭で、必死に考えた、下手な言い訳だった
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