BOOK1《前編》
□プロローグ
3ページ/4ページ
その現代的な電子音に、現実を突き付けられ、諦めと共に起き上がった
勿論そこはベッドの上で、若い女性らしさなんて、欠片もない閑散とした私の部屋
『早起き対決は、わしの勝ちじゃ』
ニシシと笑うあなたに、引き込まれて同じ様につられて破顔してしまう…
そんな柔らかな朝は、もうここにはない…
目頭が熱くなって、瞳が一気に潤う
眉間に皺をよせ瞼をギュッと閉じた
向こうで二年間ほど暮らした筈なのに、現代に戻ったあの日は
カナちゃんとはぐれて数時間後だった
.