ジョウケイアイディール

□四段目《閑話》
2ページ/2ページ


蝶の章


 前には広野、後ろには森林、どこまでも続く広大な平野を影宮蝶間は屋根の上から眺めていた。

 しかしこの目は何も映さない。正しくは、"色"は辛うじて判断できるがそれでも線と線の境界は曖昧で、空と地の区別すら危ういのである。

 生まれながらに他人と劣っていた蝶間、しかし不自由な目の変わりとでもなるかのように聴覚や触覚は鋭くなり、体は気配に敏感となった。

 その結果、蝶間は無意識の内に周囲を警戒してしまい。寝ている時、少し気配がするだけでも目が覚めてしまう。浅い眠りしかできず、十分な睡眠を摂れていない脳は良く回らなく、食欲もわかないとくれば本末転倒もいいところだが、しかし蝶間自信がその悪循環に気づいていないので直しようがない。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ