ダンガンロンパ 小説
□恋人つなぎ(5P)
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*2ED後の平和な世界?らしい。
付き合ってません、両片思い。
僕は今、霧切さんと遊園地に向かっている。
…まさか、霧切さんが一緒に来てくれるなんて思っていなかった。
『霧切さん…あのさ、もしよかったら今度オープンする遊園地の割引券を貰ったんだけど……よかったら一緒にどう、かな?』
『…遊園地?』
『いや別に無理にって訳じゃないし、嫌なら全然断ってくれて……』
『いいわよ。』
『…へっ?』
『遊園地でしょ、行くわ。』
と、まあこんな感じでダメ元で誘ったらまさかのOK…という訳だ。
正直言うと、彼女が遊園地を好きそうなタイプにはとても見えなくて、誘っても断られるだけだと思い込んでいたのだった。
「…くん、苗木君!」
「っ…ど、どうしたの霧切さん!」
「どうしたの…じゃないわよ、前見てみなさい。」
「前…?」
言われるがままに視線を移すと遊園地の入場ゲートがあった。
いろいろ考えている間に到着していた…ようだ。
加えて自然と目に入る人、人…そして人。
「どうしてこんなに沢山の人が…!?」
「…オープン初日なのよ、これぐらい当然でしょ。」
「それでもこの人の量は……。」
「見た感じだと3時間は確実に並ばないとダメそうね。」
入場ゲートから伸びる人の列を指さしながら霧切さんが淡々と呟く。その度に彼女の言葉が僕の心にグサグサと突き刺さる。
…そりゃそうだ、オープン当日なんだからこれぐらい混んで当たり前。どうして何も考えていなかったのか。
「……ごめん、帰る?」
きっと呆れられているに違いない。
彼女の次の言葉なんて予想するまでもなかった…はずだった。
「どうして?」
「…えっ?」
…予想、外だ。
「だって、3時間は並ばないとダメなんだよ…ね?」
「構わないわ。」
「中には行ってもあんまり遊べないと思うし…。」
「いいわよ、私は遊園地なんて場所に来られるようになっただけで十分嬉しいから。」
「あ……。」
確かに、そうだ。
あのコロシアイの中を生き残って、僕らはようやく平和な世界を取り戻しつつあって、だからこうしてこんな場所に来られるんだ。
「……それじゃ、並ぼっか。」
「ええ。」
こうして僕らは動く気配のない入場列の最後尾に並んだ。