お題小説
□欲しいのは、あなたの時間
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*ぷよぷよ
(エコ→りん、エコりんっぽい)
「やあ、りんごちゃん。」
「…!?」
あの騒動の後、ボクは初めて彼女と再会する。
…まあ、りんごちゃんはボクのコトなんて覚えていないだろうけど。
「…どちら様、ですか?」
「そうだ、この姿で会うのは初めてだったねぇ。」
実は今、ボクはヒトの姿をしている。
ゲンミツに言うと、"ヒトに似せた"…だけど。
勿論、覚えてないのは百も承知で会いに来た。
だけど、ちょっとだけりんごちゃんを困らせてみたくて、ボクはワザとイジワルな言い方をしてみる。
「もしかすると…エコロ?」
「…え?」
今、何て言った?
「声が…エコロそっくり。」
聞き間違えじゃない、りんごちゃんは確かに"エコロ"と言った。
「ボクのこと…覚えてたの?」
「やっぱりエコロなんだね! 人の姿をしてるから全然分からなかったけど…」
りんごちゃんがボクのコトを覚えてた。
あの後ドコへ行っても、誰一人ボクのコトを覚えてなかったのに。
「こんなことなら…もっと早くりんごちゃんに会いに来ればよかった。」
「えっ?」
実は、この世界に来てから随分時間が経っていた。到着してすぐにボクはりんごちゃんの世界だとわかって、彼女を探した。そして、見つけた。
だけど、りんごちゃんがボクのコトを覚えていないと思うと声を掛けられなくて。そうしているうちにも、次の世界へ向かう時間が刻々と迫ってきていた。
…そんな中でボクはずいぶん葛藤したけど、やっぱり最後にりんごちゃんに会っておきたくて。
「実はボクはもうすぐ、この世界とお別れしなきゃならないんだ。」
ボクは時空の旅人。
…同じ空間に長い時間留まることは許されない。
「そんな…せっかく会えたのに。」
「悲しそうな顔しないで、りんごちゃん。」
ボクも悲しくなっちゃう。
「…また、この世界に来る?」
「多分、いつか…ね。」
…ホントは次があるかすらも怪しい。
「いつか…って。」
りんごちゃんの声が震えてる。
「そうだ、1つボクと約束しようよ。」
「…約束?」
「うん。約束っていうよりボクからのお願い、だけど。」
約束すれば、また会える気がするから…。
「…内容次第、です。」
「あ、疾しいことじゃないから心配しないでいいよ〜りんごちゃん。」
「やっ…やましいことって!エコロ!!!」
「あっはは!…やっぱり、りんごちゃんには悲しそうな顔は似合わないや。」
「えっ?あっ…」
ちょっぴり怒ってるけどね。
悲しんでる顔よりずっとイイ。
「そ、それで内容は…?」
「1度しか言わないから、よ〜く聞いてね。」
「今度ボクがこの世界に来た時は」
「キミの時間をボクに頂戴。」
「それは…っ!」
「あはっ、ゼッタイ忘れちゃダメだよ〜!」
ボクはりんごちゃんに有無を言わさず念押しした。
「それは、私と…」
「…あ。」
「どうしたの…?」
…タイムリミットが近い。
「そろそろ、この世界とはお別れしなきゃいけないみたい、あはは。」
「……。」
「…ゴメンね、りんごちゃん。」
ボクの身体が朧げになってきてる。
周り音も少しずつだけど遠くなってきた───
…サヨナラ。
「エコロ!!!」
……りんごちゃんの声だ。
「もし約束を破ったら…承知しません!!!」
「おおっ…それは怖いねぇ。」
きっと、会いに行くよ。
「それじゃあまたね、りんごちゃん。」
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【END】
"サヨナラ"より"またね"
20th後日談イメージでした。
実はエコりんも結構好き^^*