お題小説
□欲しいのは、あなたの温もり
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*ポケスペ
(ゴークリ)
「ごめんね、ゴールド…。」
「こんな時まで謝んなって。」
風邪引いてぶっ倒れた時まで人の心配しやがって。
突然クリスから電話がかかってくるから、一体全体どうしたのかと思えばこのザマだ。
…どーせ仕事やりすぎの疲労だろ。
「ま、ゆっくり休めよ。…間違っても仕事のコトとか考えるんじゃねーぞ!」
「えっ、ゴールド帰っちゃうの…?」
「あ?」
熱があるからなのか、普段の姿からは考えられないぐらいクリスが汐らしい。
「何だ、帰ってほしくないのか?」
ま、「そんな訳ないでしょ!」とか言うんだろうが。
「…帰らないで。」
「…マジで?」
「お願い、傍に…居て。」
「…っ!」
おいおい…そんな顔されて帰れる男がいるかよ。
「おいクリス、今自分がどんなツラしてんのか…わかっててやってんのか?」
「…え?」
無自覚、か…。
「…ゼッテー俺以外の男の前でそんな顔すんじゃねーぞ。」
「?」
「で、俺にどーして欲しいと?」
何となく気まずくなって思わず話題を変えた。普段はあんなに調子いいのに、こーゆうとき本当に弱いよな…俺。
「えと……」
弱々しい声を出しながら、クリスが俺の手を握ってきた。
「握ってたらいいんだな。」
「ゴールドの手、温かくてホッとするから…」
「わかった。…ずっと居てやるから、とりあえず少し寝ろ。」
「うん…おやすみ、ゴールド。」
「ああ、おやすみ。」
しばらくしてクリスはスースーと寝息をたてながら眠った。
「普段からこうして黙ってりゃ、もっと可愛いんだがな…。」
クリスの寝顔を見ながらふと思った。だが、他の男がコイツのこんな表情を見ると思うと…無性にイライラしてくる。
「…やっぱ、俺の前だけでいいわ。」
そうして眠っているクリスの髪にキスをした。
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【END】
お題は水晶、視点は金で。
因みに髪にキスは思慕の意味。