その他

□Lie and Truth
1ページ/1ページ



別れは、いつだって突然だ。




「翔ちゃん…別れよう?」
「え……?」

「もう、終わりにしたいの。」
「…か…ず……?」

「だから、別れて下さい。」
「うそ……」

「…うそじゃないよ。」
「かず…?…うそだろ……?」

「………」
「なぁっ…うそって言ってくれよ…」

「……ごめんなさい。」
「……っ」

あぁ…翔ちゃんは今、俺のせいで傷ついている。

泣かないで、泣かないでよ…翔ちゃん。

「何で……?」
「…新しく好きな人ができたの。」

「そ…っか…」

また俺のせいで、傷ついた顔…したね。

翔ちゃん…うそだよ。
新しく好きな人なんかいない。
俺が好きなのは、あなただけなの。

だから…さ。

「いつ…から…?」
「…ずっと前から。」

俺のせいで傷つくのはやめて?
俺のことなんか、忘れてよ。

「かずは…俺といて幸せだった…?」

そんな切なそうな顔して聞かないでよ…翔ちゃん。

ほんと、バカだなぁ、俺。
忘れて、なんて思ってないくせに…

ねぇ、翔ちゃん…?

俺のこと、忘れないで。
忘れてほしくないの。

“幸せだった”?

そんなもんじゃないよ。
俺はあなたから…
もっと大きくて大切なものを貰ったんだよ。

でも…

「うん…」

中途半端に優しくしちゃいけない。
翔ちゃんに…未練を残させちゃいけない。
忘れないで、なんて…言えない。
言っちゃいけないね。

分かってる。

だから…

「翔さんのこと…愛してたよ。」

過去形にするね。

そして、あなたは…

俺の目を見て、
真っ直ぐ言いました。

「俺…かずに愛されてたって
分かって…嬉しいよ。
一瞬でも…好きでいてくれたんだろ?
それで、いいよ。

なぁ…かず?
俺…お前のこと、本気で好きだったんだ。
今もずっと。
誰にも渡したくなかった。
誰にも触れさせたくなかった。
守りたいって、初めて思えた。

俺に、こんな愛しい想いを与えてくれて
ありがとう。
俺…お前のこと、本当に愛してたよ。

明日からは…絶対前に戻るから。
安心しろよ…?
今日も、ゲームばっかしてないで
風邪引かないように寝てな?
バイバイ…かず。
今まで、ありがとな。」

その言葉を最後に
翔さんは、静かに部屋を出て行った。

泣いちゃダメ。
俺なんかが、泣いちゃダメなんだ。

俺のこと…
『裏切った』って責めてくれて良かったのに。
翔ちゃんは…優しすぎるよ。

こんなんじゃ俺…あなたのこと忘れられないじゃん。

でも俺は、そんなあなたが大好きだったの。

ごめんね、翔ちゃん。

「ごめんな…さいっ…しょ…ちゃ…っ」

演技がうまいって言われてきた。
でも…なんてむなしいんだろう。

本当のことも言えずに
愛する人に、嘘を告げて
俺の恋は終わった。
終わってしまった。

なんて、儚いんだろう。

あなたはもう…ここには来ないのでしょう。
明日にはもう…かず、とは呼んでくれないね。

もう二度と
あなたの肌を、熱を、愛を、心を

感じることも出来ないのでしょう。


分かってる。
決めたのは、自分。

決意したのは、あの日。
俺が、汚れてしまった…

最悪な日。

でも…

『翔ちゃんっ』
『ん?なに、かず』
『…大好きだよ?』
『えっ?!…お、俺もだよ…』
『ちゃんと言ってよー』
『…あ、愛してる…っ//』

あなたとの思い出を、
大事な思い出を、
俺は、生涯忘れないから。


自分勝手でごめんなさい。
でも…俺は……

「翔さん…ずっと、あなただけを愛してるよ…」

これからも、ずっと。


-fin-
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ