どうして

□変わったもの
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「これから皆さんはどうなさるんですか?」


ここはアカデミアのホープの研究室。
ホープの突然の質問にライトニング、セラ、スノウ、サッズ、ドッジが一瞬ぽかんと間をあける。


「なにって…そりゃあ、前みたく暮らすけど?」


スノウが当たり前かのようにホープにはなす。


「今まで通りってこの旅を始める前のようにってこと?それが今のスノウ達には難しいから聞いてるんだ。」


スノウ、セラ、サッズ、ドッジは今の時代には本来ならば生きてはいない存在。
ホープは機械を使ってこの時代にやってきた。だからホープの情報は昔のままになっている…からいいのだが


勿論、セラ、ライトニング、スノウ、サッズ、ドッジのことを知る人物は今の時代。誰もいない。
だからこの5人は500年前に存在した人物になっている。


「そりゃあ…そうだが…だが500年前の俺達に戸籍がまともに手に入るとは思えねえが?」


サッズが少し気だるそうにホープに訪ねた。
今の自分達に戸籍がないのは分かっているし、戸籍がなければ生活的支援を政府よりうけられないのだ。


「どーにもできない戸籍をおれたちゃどーすりゃいいんだ?」

サッズがお手上げ。というように手をあげた。



「…みなさんが…みなさんがもうどこにもいかない。そう約束してくれるのなら僕が戸籍を用意します。」


「ホープ?」

ホープ以外のもの達はみんな今目の前にいるのは27歳のホープではなく、あの時の14歳ホープだった。

そして悟った。
ホープの時間はあの時のまま動いていないのだと。


そんなホープは両手拳を堅く握りしめ、下を向いていた。



仲間達が消えた時の消失感は今もおぼえている。悲しい。恐怖にも似た気持ちをおぼえている。


それは大人になった今でもたまに感じることがある。

どんなに高い地位があって、信頼できる部下達がいたとしても。
周りにかつての仲間達がいたら…とたまに幻想を抱いてしまう。

そんなホープの泣きそうなつらそうな表情をみてスノウとサッズがホープの元に歩みそして


「!!」
「ホープ、お前は今までよくがんばったな!おじちゃんは嬉しいぜ。」
「俺達が安心して旅を続けられたのはお前ががんばってくれていたおかげだ。ありがとな!」


二人の男はホープの肩をがっしりと掴んだ。
まるでルシになりし時のあの日に戻ったかのように。


「そんな…ずるいですよ。」


ホープの瞳から一筋の雫が流れた。ライトニングはそれを見てとても胸が締め付けられた。

ライトニングはヴァルハラから見ていて知っていた。
ホープは皆がいなくなったあの日から今まで一度も泣いてはいなかった。
14歳の頃だったらきっと逃げ出していたのだろう。

しかし、どんなにつらいことがあっても負けずに困難に立ち向かってきた。

ホープにはなんともいえない申し訳ない気持ちが沢山あった。
本来なら私や皆がそばにいてホープの成長を見届けるべきだったのに。


ヴァルハラからホープを見ていて何度ホープの元に行きたいと願っただろうか。
しかしいつも目を瞑っていた。

だから今目の前で、ホープがしっかりと自分のやるべきことを見つけて、信じて進んでくれたのが凄く嬉しかった。


「ホープ…」

ライトニングはまた、ゆっくりホープの元へ行き。
もう一度

「ありがとう。」

ホープの髪をゆっくり撫でた。


もう24になる男性の頭を21の自分がなでるのはどうかと思ったが、


「ライトさん…もう子供じゃないんですよ。それに…何回も聞きましたよ。似たようなこと。」


案の定。
ホープは少しむくれたが


「いいじゃないか。たまにはこんな日があっても。」
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