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□薄い壁、漏れる声
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「あぁん、やんっ」
妖艶な声が隣の部屋から聞こえる。ああ、何でこんなに壁が薄いんだろう、この家は。ミク姉もミク姉だよな、もうちょっと声抑えようとはしないのかよ。まあ、クオ兄はテクニシャンだからな、それだけ感じてるんだろう。
「ク、オっ・・・イくっ・・・」
「・・・うん、イ、けよ」
「あ、ん、やあああん!」
今までで一番大きい喘ぎ声。それと一緒に聞こえるベッドが軋む音。ああ、イったんだな。
俺ははあ、と溜息をつき、今まで読んでいた本を閉じる。そして目の前にいる少女――リンを見据える。リンはオレンジのクッションを両手で抱き、顔を真っ赤に染めていて、とても可愛い。
俺はちょっとからかってやろうと、さっき思ったことを口に出す。
「・・・イったね」
「っ!!」
直球に言うと、リンはびくっと肩を震わせ、ゆっくりと頷く。そしてゆっくり俺の方を向くと、顔は赤くて涙目で上目遣いで。
「壁薄いのはしょうがねえけど、もうちょっと声抑えることできないのかな」
そう言うと、リンはゆっくり口を開いて、言った。
「気持ち、いいんでしょ。シたことないから、わかんないけど・・・」
膝立ちでゆっくりと近づいてくるリン。俺の近くに来て止まると、最後のトドメかと言うように言った。
「好きな人に抱かれるのって、幸せなんだよ、レン」
笑顔でそういうリンに、俺の何かが外れた。
「・・・ねえ、リン」
「きゃっ」
俺は床にリンを押し倒す。リンは本当に卑怯だ。あんな情事中の声を聞いたあと、好きな子のこんな表情を見て、抑えられるやつは男じゃない。
「リンも、興奮してんでしょ?」
「レ、ン?」
ゆっくりとキスをして、胸に手を這わす。ぴくっと震えるリンに、俺はますます興奮が増えていく。
「ミク姉たちと同じこと、しようか」
首に回された腕を肯定と受け取り、先程より深くキスをした。
(隣の少女よりも、
甘く啼いて見せてね)