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□欲張りものは・・・
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10月31日、ハロウィン。
幼い子供が賑わって、お菓子を求めて遊ぶ日。
そして――・・・。
「レン、trick or treat!」
リンが一段と、可愛い日。
「リン、それ猫?」
「うんっ、黒猫!どお、可愛い?」
そう言って、くるんと俺の前で回転するのは、猫の格好をしたリン。
胸に黒いリボン、フリフリの黒いワンピース、ハイソックスまで黒と言う、黒ずくめのリン。頭にはひょこひょこ揺れる猫耳に、尻尾はゆらゆらと動いている。
いつもは外にはね気味の綺麗な金髪も、緩くウェーブがかかっている。
な、なんだこの可愛い生き物は・・・・・・。
けど敢えて言わない俺は、相当のSなんだと思う。
「あぁ、いいんじゃない?」
「むっ・・・。可愛いって、言ってくれないの?」
言葉通り、むっとむくれるリン。ほんと、いちいち可愛すぎる。襲ってやろうか?
「・・・それより俺、お菓子持ってないけど?」
「なにいっ!?そしたら、イタズラ決定だねっ!」
にやあっと、何かを企むように笑うリン。ああほんともう可愛すぎるよご馳走様でした。
「じゃあね・・・・・・えいっ」
「うおっ」
いきなりリンが飛びついて来て、腕を俺の首に回す。いきなりの衝撃に、俺は持っていた楽譜をヒラリと落とし、後ろのソファに寄りかかるような体制になった。
なんだこれ近すぎる。てか、谷間!小さいけれどしっかりと膨らみが俺の体に・・・。
「えへへっ、今日一日ぎゅーってしてる!そしたらレン、動けないでしょ?」
「・・・・・・」
・・・あぁもう、限界。
「リン、trick or treat」
「えっ?」
「はやく、trick or treat」
「えっ、ええと・・・あっ、飴あった!」
ゴソゴソとポケットを探り、飴が入ったオレンジ色の袋を取り出し、「これでイタズラはなしだねっ」と笑うリン。
そんなリンに構わず、飴をバッと奪い、袋を開けて口に含む。
「あっ、それオレンジ味・・・んう!?」
そして、口付ける。
「んっ・・・ふあ・・・っ」
リンの口内で自身の舌を動かす。歯列をなぞったり、リンの舌と絡めたり。
途中リンが苦しそうに口を開け胸を叩いてきたが、気にせずリンの口を貪る。
そして暫くして唇を離すと、銀色の糸が俺とリンを繋いでいた。
リンは自然と自分の口に入っていたオレンジ味の飴をガリッと舐め、恥ずかしそうに俯いた。
「リン、猫可愛い。てか、いつも可愛い」
「ふえっ・・・あ、ありがと・・・」
「つか飴より・・・リンの口の方が美味しかったわ、なんて・・・」
「っ・・・・・・、レンの、ばかあ・・・」
顔を林檎のように真っ赤にして、涙目で上目遣いで俺を見るリン。
その顔に、俺は何かが外れた気がした。
「・・・リン」
「んう?」
「ベッド、行こうか」
「えぇっ!?ちょっ・・・」
今年のハロウィンは、甘い甘い一日になりましたとさ。
(猫とキスと・・・やっべ、俺得ばっかだわ)
(レッ・・・レンの欲張り!)