*約束はいつの日か*

□不思議な力だ
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わいわい がやがや





相変わらす、活気のいい町だ。

この島は海賊や海軍はあまり通らず、
実に平和。





そんな街に今、海賊が来ている。

ジュラキュール・ミホークだ。



そしてミホークは今子供を連れている。

ここは服屋だ。












『ミ、ホーク・・・こ、んなに・・・いぃ』


「遠慮はするな。金なら心配ない。
 その辺の海賊の宝でも奪ってやる。」


『でも・・・』


「何か欲しいのがあれば言え。」












ミホークは、ポイポイと服を投げている。



淡いピンクの水玉フリル付きワンピース
デニム生地のつなぎズボン
カラフルなストライプ柄のTシャツ・・・



どれもこれも、

大人顔負けの可愛らしい顔立ちのよしみに
似合いそうな服だ。



ミホークはセンスがいい。

・・・だが、量が・・・半端でない。


その量によしみは戸惑っている。












「・・・よし。コレを全て買う。」


店員「こ、この量をですか・・・?」


「何かいけないか」


店員「い、いえ!直ぐに会計を!!」


「それでよい・・・」


『ミホー、ク』












最初はよしみが、これがいい!と1着だけ選んだ。


だがその後ミホークは、あれもこれも、
とポイポイ服を選び出した。


1着しか言ってないのに・・・。



周りのものから見れば、その量にも驚くが、

マントの裾を引っ張るよしみに、
先程の店員の時の態度とはガラリと変わって、

ん?とよしみの顔を優しく覗き込む。




その変わり様に、
島人は目が飛び出るほど驚いている。


あの鷹の目のミホークが・・・。














『ぃい・・・こ、なに・・・』


「だから遠慮はするな。おれが買いたいんだ」


『で、も・・・』


「次は菓子だな。行くぞ」


『・・・にゃぁ・・・』












渋々了解したよしみにミホークは優しく微笑む。


・・・ついでだが。
      


よしみは、    ・ ・
海軍支部というまだ小さな範囲だが追われる身。


フードを深く被り、変装をしている。





だがそのフード・・・


全体が真っ黒であり、
フードには大きめの、猫耳が付いている。



しかもご丁寧に針金で固定した、

可愛らしい尻尾まであるではないか。




その上、後遺症だとしても、口癖のにゃあ。



この姿に微笑まない・・・
というよりニヤケない者はいるのだろうか。




ミホークは顔を引き締めようとするが、
よしみの姿を見るたび、脆くも崩れ去る。


マントの裾を引っ張るよしみに、微笑む顔が収まらない。












「・・・フッ・・・」


『にゃあ?』


「あぁ、いや、なんでもない。
  ・・・ほら、菓子屋についたぞ」


『にゃあ!あぃがと、ミホーク!にこっ』


「・・・!」












声を漏らしてしまった。


菓子屋についたのをいい事に、
ミホークはよしみを先に歩かせた。



だが不覚。



行く寸前に言ったよしみの言葉と笑顔に、
ポーカーフェイスは見事に崩れた。



ミホークは思っただろう。


虜になってしまった。と。

・・・あれは反則だ、と。
















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