黒子のバスケ夢
□「雨」
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私は雨が嫌いだ。
急に降ってくるし、傘が無いと困る。
今日は傘を持ち合わせていない。
本当、どうしたものか・・・
ハァ・・・。
今日最大のため息をはく。
だって、雨が降っていたから。
しかも、傘が無いという失態。
今日の朝、めちゃくちゃ晴れてたし、ニュースでも、雨は降らないと言っていた。
・・・もうニュースなんて信じない。
そう心に決めて、走って帰ろうかと考えていたとき、
「あれ?橘さんじゃんっ」
明るく、元気な声に私は振り向いた。
「高尾くん?」
そこには、とても人気があるクラスメイト、高尾和成がいた。
「どしたん?」
「え、あと・・・傘が無くって」
「あ〜そら大変だ。俺、朝真ちゃんに「傘を持っていったほうがいいのだよ」って言われてさぁ」
「そうなの?」
「うん。占いで、今日は起きもしないことがおこるかもって言ってたらしい。で、傘」
すごい。よく当たる占いだな。
「ん?真ちゃんって、緑間くん?」
「おう!」
「ていうか、部活は?お休み?」
「うん。自主練しようかと思ったんだけど、真ちゃん帰っちゃったし、雨強くなる前に帰ろうかと思ってw」
自主練か〜。すごいな。バスケ部だっけ。
「ごめんね。引き止めたみたいで;」
「いいんだって^^」
と、言って高尾くんは傘をさして玄関から一歩外へ出る。
「じゃあね^^お気をつけて」
と、あいさつをする。
「え、帰んないの?」
高尾くんが言った。
「いや。傘無いから」
「あるじゃん」
高尾くんは自分の傘を指差す。
「いや、それ高尾くんのだし」
「えっ一緒に帰んないの?」
・・・・・・
「「えっっ!?」」
高尾くんと声がハモる。
「いや俺、橘さんが「傘ない」って言った時から送る気満々だったんだけどww」
「いや・・・悪いし」
家までだとさすがに迷惑だと思った。
「何言ってんの!面倒とか言ってないし、俺が送りたいの^^」
そう笑って高尾くんは言った。
そして手を私の前に出して言う。
「さぁ、橘さん!帰ろうか^^」
私は顔が紅くなるのを感じながら、
差し出された手に触れて言った。
「ありがとう///」
雨
雨が嫌いだった私は、今日初めて好きだと言えるような気がした。
(橘さんもっと寄んないとぬれちゃうよ?)
(え///あ、ありがと・・・///)
(・・・///かわいい///)
(へ?)
(いや〜なんでもないっ!!)