頂き物 小説

□星に願いを
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星に願いを。

※パラレル1内に入っている、吸血鬼ア ル、高校生エドではありませんのでご注 意ください。

「エド、また星を探しているのか?」 そう友人に言われて、エドワードは、 曖昧に笑った。 探しているつもりもない。 ただ、夜空が好きで――いや、太陽の ニガテなヤツを知っているからだが――いつも、思いだしては、夜空を眺める。 「ここでは、天の川がよく見えない」 そう呟いたエドワードに、友人は、 「当たり前だぜ。もっと田舎にいかねェ と、なかなか星なんて見られないぜ」 「そうだな…」 ぽつり、と呟いて、また空を見上げる 。 「じゃあ、お疲れさん。またな」 「ああ。お疲れ」 エドワードは、夜の道を歩き出した。 自分のアパートは、川の近くにあり、 橋を渡らねばならない。 その橋を、渡りながら、漆黒の水面を 見る。 やっと、七月に入った。 あと、六日…

エドワードは、溜息をついて、自分の アパートへと入ったのだった。

☆ 「おい、エドも夕飯食べにいかねェか? 」 「わりい!今日、用事あるんだ」 バイト先から、慌てたように飛び出し 、ダッシュで帰るエドワードを、バイト 仲間は、不思議そうに見送った。

今日は、七月七日。 「アル…!」 走りながらも、思わず出てしまった名 前。 アパート前の橋を渡っていると、あち ら側に、長身の男を見つける。おなじ、 髪色の――「兄さん」 「アルっ…!」 エドワードが、飛びつき、アル、と呼 ばれた男はそれを抱きとめた。 「久しぶり」 「うん…!」 ぎゅうぎゅうと力強く抱きしめ合って 、夜とはいえ、人通りもあるので、二人 はエドワードのアパートに入っていく。

「何か、飲むか」 「うん。でも、それ持ってきたら、ずっ と僕の傍にいて」 そう言われ、エドワードは微かに頬を 染めた。 ペットボトルの水と、アルフォンスに はペットボトルの紅茶を渡すと、急にそ の腕を引っ張られた。 そして、再びアルフォンスの胸に落ち てくる。 「…兄さん…。兄さん」 そんな声に、エドワードは、ふ、と笑 みを浮かべた。 「おまえ、余裕なさそうだな」 「あるわけないよ。一年に一度しか、会 わせてもらえないんだもん。リアル織姫 と彦星なんだから」 「うん…。そっちは、どうだ?」 「変わらないよ。僕が、お日様ニガテな のも」 「もう少し、頑張れ」 「でも、頑張ってるよ。ほら、牙、出し てないでしょ」 そう、いーと歯を見せたが、 「…出てるぞ、牙」 「ええっ!やっぱ、兄さんに欲情しちゃ うと、抑えがきかない。そういう兄さん は?」 口を開かされて、仕方なくエドワード が口を開くと、 「わ、流石!人間界が長いだけあるね」 「…わかんねェよ。おまえに、欲情して ないだけかも」 「ええっ!酷い!この一年で、僕のこと 嫌いになったの!?」 そう焦ったように言う、アルフォンス に、エドワードは、はは、と笑った。 「変わらないな、おまえ」 「一年まえとは、変わったコト、教えて あげようか」
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