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□小話 1
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「シュラ…足冷えるからせめてスリッパ穿いて?って俺、言ったよな?」
『お前こそ。ちゃんと髪を拭けと毎回言っているはずだが?』
「え〜…面倒;ほっとけばそのうち乾くし。それにドライヤー嫌いだし、俺…」
『拭いてやるからこっちに来い。…そんな嫌そうな顔するな。ドライヤーはしない』
「…ならいいけど」
『せめてもう少し拭け。風邪を引くだろうが』
「すいません…少し痛いんですが;」
『黙れ…拭いてやっているんだ。感謝の言葉以外は受け付けん』
「じゃ、拭かなくていいし。俺、濡れたままでも平気だし?」
『……』
「シュラ?」
『何でも無い』
「怒った?」
『…いや』
「シュラ…あったかいな」
『ッ!…いきなり抱きつくな!!』
「俺とおんなじ匂いがする…」
『///…』

*11月28日 日記掲載*





『…カンノーリ?』
「そ。シュラは初めて食べるっけ?久々に作ってみたんだけど」
『…(凝視)』←基本、甘いモノは大好きだが、初めて見る食べ物に味が想像出来ず若干警戒
「中に詰まっているのはリコッタチーズのクリーム。シチリア伝統の菓子だな。食べないのか?」
『……食べる』←デスの解説で味の想像が出来たので食べる
「…」
『…』
「シュラ」
『…何だ?』
「食べるの下手」
『…;』
「まんま齧るからクリームはみ出るの。少し中身吸う感じで食べる…って、言ってる傍から;」
『煩い…自分の好きに食べて何が悪い」
「はいはい;…ほら、クリーム付いてるぞ?」
『…ん?』
「そっちじゃない。反対…ああ;もう。こっち向け」
『…??』
(チュッ)
『ッ…!!』
「右唇の端指してるのに、何で頬を拭うかな…シュラくんは?」
『(赤面)』
「で、お味は?」
『………悪くない』
『そっか』

*11月29日 日記掲載*





*就寝後の寝室にて*

『デスマスク…首筋がちくちくするのだが?』
「そりゃ…俺が首に顔埋めてるからだろ」
『……離れろ』
「嫌だ」
『気になって寝られん』
「俺は大丈夫」
『…怒るぞ』
「だって…シュラ、あったかい」
『…』
「あったかくてきもちい…」
『寒いのか?』
「寒いとかじゃなくて、こう…ずっと触っていたい温かさって言うの?」
『それを人は寒いと言うんだ…』
「へぇ」
『;…取り敢えず首から離れろ』
「………わかった(かなり不服)」
『ほら…こっちに来い』
(上掛けを持ち上げ腕を広げる)
「??」
『こっちの方が温かいだろ?』
「……」
『いい加減、俺も寒いのだが?』
「ああ…うん」
(大人しくシュラの腕の中に収まり胸元に顔を埋める)
「……あったかい」
『それは良かった』
(デスマスクの頭の上まで上掛けを引き寄せ、そのままきゅっと抱き込む)
「シュラの音もあったかい」
(背中に腕を回し胸元に擦り寄る)
「…なんか落ち着く」
『そうか…』
(そっと髪を撫でる)
「シュラ…」
『ん?』
『……あったかいね』
「…そうだな」

*補足*
何を言いたかったのかというと…。
ウチの蟹さんは温もりとか愛情とかが判らない。いやね、普通に暑いとか寒いとかは判るよ?好意・嫌悪も判るよ?
こう…何て言ったらいいのかな?

『無条件で与えられる温もりと愛情』

とでも言うべきですか?きっと蟹さんは幼少期に愛情といったモノを与えられた記憶はありません。もちろん温もりも…。
だから判らない。
でも、無意識に備わっている?人間の『情』を感じてミロとカミュは蟹さんに懐いたんだと思う。そういう感情には敏感そ
うだからあの二人。

判らないけど求めてしまうのもまた人で…。
蟹さんが変わらない感情をの答えを求めた対象が山羊さんだった。山羊さんは蟹さん大好きだから…きっと本格的にお付き合
いをし出す前からかなりの世話焼き女房だったと思うよ?付き合いだしたらそれに更なる拍車が掛ると思う。
常に誰よりも傍で蟹さん見てたら、今まで見えなかった事柄だって沢山あると思うし?
で。蟹さんは甘え方が良く判りません。
本当は寒いんです。
でも、本人は寒いって自覚ありません。だって寒くても誰も温もりをくれなかったし、寒い時は一人で何とか凌いでいたし?
でも、今は傍にシュラがいて…傍にいるとあったかくて。
山羊さんも最近、傍にいてかなり世間離れしている蟹さんを理解し、必死に愛情を注いでいる段階?
辛い時は言っていいんだよ?
甘えていいんだよ?
山羊さんなりのやり方で蟹さんを甘やかしているんです。そんな山羊さんの気持ちに気付いては無いけれど、こういった時に
こういう事言ってもいいんだ的に認識し始めた蟹さんでした…。

*12月01日 掲載*






*とある日の朝食*


「……」
(キッチンの入り口からシュラを傍観)
「(おいおい…一体何杯砂糖入れる気なんだ、アイツ;)」
『?…何だ?』
「今、珈琲に砂糖何杯入れた?」
『4杯だが?』
「;…ミルクは?」
『いる』
「で、今日はトリハスに何かける?」
『そうだな……』(考え中)
「生クリーム、チョコシロップ、メープル、蜂蜜、カシスジャム、ラズベリージャム、アプリコットジャム、オレンジマーマ
レード、レモンマーマレード、ブラッドオレンジマーマレード…」
『…生クリームとアプリコットジャム』
「了解」
(数分後、珈琲用のミルクにトリハスとクロックムッシュが登場)
『?…それは』
「こっちは俺の」(もちろんクロックムッシュ)
『ほら、御所望通りのトリハスだ』(トッピングにベリーを追加)
(互い時に自分の皿の物を食べ始めるが、シュラの視線が気になるデス)
「……何?」
『トリハスに見えるが…何か違うな、と思って』
「だってコレ、イギリス料理だし…簡単に言うと甘くないトリハス…ってかフレンチトースト?」
『わざわざ作ったのか?』
「いや。基本的な材料はトリハスと変わんねぇし?甘いか甘くないか、の違いくらいか?」
『それにしたって違い過ぎる』
「まあ、ベシャメルとトマトとキノコのソテー追加してるからな」
『…そうか』
(じーっとデスの皿を見つめ続ける)
「………食べたいの?」
『……別に』
「食べたいって顔してるくせに。それじゃあ説得力ないっての。…ほら?」
(一口大のクロックムッシュをフォークに指してシュラの口元に差し出す)
『(ぱくり)ん…』
「美味いか?」
『(頷く)』
「…気に入ったんなら、明日はそれにするか?」
『(口を動かしながらもう一度頷く)』
「(コイツ…本当に幸せそうに飯食べるよな)」
『?どうした』
「いや…シュラって美味しそうに食べるなって」
『美味い物を美味いと感じるのは普通だろう?』
「………そっか」
『??』
「何でもない」
(口元に小さな笑みを浮かべ食事の手を動かす)
『…そうか』
(笑みを浮かべるデスを不思議そうに見つめながら、自分の皿の物を食べ始める)



*補足*
食に執着の薄いウチのデスマスク。
逆に自分なりのこだわりというか、好みがはっきりしているシュラ。そんな二人の朝食。
朝食は大概シュラはトリハス。そこに甘い物を添えて食べるのが大好き。対してデスは一応シュラがいる手前何かは食べますよ?シ
リアルとかヨーグルトとか;
食事をしながら時々思う事。
『何で食べるんだろう?』
ウチのデスならそう思うと思う。生きる為だけなら本当にウィダーやカロリーメイト+サプリでも生きていけると思うのです。ウチ
のデスは実践しますよ!
でも、毎食シュラと食事をしていて(シュラ入り浸りだから;)シュラが美味しそうに、幸せそうに笑みを浮かべて料理を食べている
姿が、内心不思議で仕方なかった。
で、今回聞いてみたんだよ。そんで、知ったんだと思うんだ。

『生きる為だけに食べるのではなく、美味しいと感じるから、嬉しいから、楽しいから食べる』

これは人の持ち得る欲求の中でも重要だと思うのです。
『美味しい』から食べる。そうすると気持ちも『楽しく』なり、『嬉しく』なる。まさに生きる活力!
それをシュラを通して何となく感じ取った、ある日の朝食のデスマスクです。
うん、シュラからの無意識『食育』!


*12月03日 日記掲載*

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