書庫

□カシス
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 重ねた唇から本当に微かだが、何かの香りがする。

「ん…デス?」



 何だっけ、この匂い。



 何か考えて込んでいるデスマスクの耳に、問いかけてくるシュラの言葉は入ってこない。角度を変えながら何度か

唇を啄み、表面を舐めてみるがそれでも匂いの正体が判らない。

「ん、ん…ッちょ…!」

 訳も判らず唇を啄まれた挙句、唇を舐める舌の感触に驚いたシュラが声を上げた。すると香りが少しばかり強く感

じられ、そのまま匂いのする方へ舌を伸ばす。それに戸惑ったシュラが反射的に逃げを打つも、両手でしっかり顔を

固定し逃げるのを防ぐ。

 口内を舐め回し、舌を絡ませる事数十秒。徐々に体の力が抜け始めたシュラを支えながら、更に深く唇を塞いで数

十秒。シュラの息が上がり始めた頃、やっと匂いの正体に目星が付いたデスマスクは唇を解放した。

「は…ぁ…いき…な…っ!」

「ブルーベリー…違うな……カシス?」

 息が整わないまま抗議の声を上げるも、己の唇を舐めながら考え込んでいるデスマスクの姿に言葉を詰まらせる。

唇を舐めているだけなのに、妙に艶があるというか。意味もなく恥ずかしさと体の奥から熱が込み上げ、どうしたら

いいのか判らなくなった。

「シュラさ…チュウする前にカシス、食べた?」

 シュラの動揺もそのままに、唇に鼻先を近付けスンと匂いを嗅ぎながらデスマスクは訊ねた。

「シャーべッ…カシ、スの…」

 デスマスクの問いに何とか答える。返ってきた答えになるほどと、判らなかった匂いの正体に一人満足そうに笑み

を浮かべた。と、漸くここでシュラの様子に気付いたデスマスクは首を傾げる。

「シュラ?」

 頬を薄ら染め上げ、今にも泣き出しそうな表情に内心しまったと呟く。

「わ、悪ィ…ちょっと気になったから、つい…」

 だから泣くなと言うデスマスクの上にシュラは乗り上がり、体の熱を伝えるように密着してくる。普段のシュラか

らは想像がつかない大胆な行動に、流石のデスマスクも驚きを隠せなかった。

「え、は?どうしたの、シュラくん??」

「…もう、いちど」

「…」

「キスしたら…許してやる」

 今の状態で正直キスだけで終わるのは難しいのでは。そう思いながら自然と手はシュラの伸び、腰のラインを撫で

上げている。

「いいよ?シュラがして欲しいだけ、チュウしてあげる」

 ニコリと笑いかけると同時にデスマスクはシュラによって唇を塞がれた。





はてさて、どこまでシュラが主導権を握れたのかはデスマスクのみが知る。



*了*




*あとがき*



ネタが降って来たので一気に書き上げてみました。


ウチのデスマスクは気になると考えに没頭してしまいます。

チュウした時に仄かに香った匂いが気になった。

だから匂いのするシュラの口が気になったんです。舐め回したんです。

された方はいい迷惑だろうに…;



ウチのシュラさんは一度火が付くと凄いんです。かなり大胆で積極的になるんです。

自分から誘うし仕掛けると思う。

だからデスマスクの上にだって乗っかっちゃうよ?その後は返り討ちに合うんだけど;

でも自分が望んだんだから、次の日どんなに体が辛くても幸せな気分v



ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。


2012/11/24

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