GS美神×ネギま!

□褐色スナイパー、危機一髪!?
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木々に囲まれた石段を登りきると、開けた場所に出た。



「え〜っとシャオ、ここは?」



少し息を切らした横島が小竜姫に問いかける。

その横島の問いに小竜姫が答えようと口を開きかけたそのとき、横島たちの背後から声がかけられた。



「小竜姫様では?」



その声に横島たちが振り向く。

するとそこには白衣に緋袴という巫女装束を纏った、褐色肌の女性が竹箒を手に立っていた。

どうやら境内の掃除をしていたようだ。



「やはり小竜姫様でしたか。 お越しになるとわかっていれば義父も予定をずらしてお迎えしたのですが……」


「久しぶりですね。 ふふっ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ?

今回寄ったのは完全にプライベートでですから」



そう言ってその女性は申し訳なさそうに頭を下げた。

その女性に対し、小竜姫は優しく微笑みながら気にするなと伝える。



「そうでしたか。 とこ『生まれる前から愛していました〜〜〜ッ!!』ッ!?」



さらに巫女装束の女性が何かを言おうとした瞬間、キラリと目を光らせたこの男がお決まりの台詞とともに飛び掛った。

毎度の事ながら、横島のこの動きを未然に防ぐことはできないようだ。

いち早く反応したタマモが横島を阻止すべく、指先に狐火を灯す。

だがタマモがそれを飛ばすよりも先に、目の前に女性が反応した。

いったいどこから取り出したのか、『チャキッ』と音を立て横島の鼻先に銃口が突きつけられる。



「え〜っと…… まさかこれ、本物でせうか?」


「まさか。 モデルガンだよ、先生」


「へ!? 『先生』?」



でっかい冷や汗をたらしながら、恐る恐る横島が目の前の女性に尋ねる。

返ってきた返事にホッとする横島。

だがそれと同時に横島は今一度しっかりと目の前の女性の顔を見る。

するとそこには見慣れた顔の少女が立っていた。



「「「龍宮さん?」」」


「ああ、そうだよ。 正真正銘『六道女学院 普通科 1年A組 龍宮 真名』さ」



横島やルシオラ、タマモの声がハモる。

それを聞いた真名はいたずらが成功したかのようにニヤリと笑いそう告げた。



「どうして龍宮さんがここに? それにシャオとも知り合いみたいだし」


「それについては私が答えましょう」



驚きで一瞬動きの止まった横島に代わり、タマモがそう問いかける。

だがそのタマモの問いに答えたのは真名本人ではなく小竜姫であった。



「少し長くなりますが……」



そう言って小竜姫は説明を始めた。

その話を横島たちは黙って聞く。



「……という訳なのです」


「ふーん、なるほどなー。 どうりで他の娘たちとは違った感じがしてた訳だ。 

そっか、ハーフだったのか。 ルシオラたちみたいな純粋な魔族とも違うとは思ってはいたんだが……」



一通り説明を聞いた横島が、納得がいったとばかりにそう呟いた。

隣にいるルシオラやタマモも納得したようだ。



「それにしても龍宮さんがまさかシャオだけじゃなくてワルキューレさんとも面識があったなんてね」


「あの人には本当に感謝しているよ。 戦火で孤児となった私を拾ってくれたのだからね」



ルシオラは真名がワルキューレと知り合いだったことに驚いていた。

もしかしたら妹のべスパのことも知っているかもしれない。



「それは分かったんだけどさ、何で今はこの神社にいるわけ?」



今度はタマモが疑問を口にする。

この『龍宮神社』が小竜姫と縁のある神社だというのは先ほどの説明で知らされた。

そして今現在は真名がこの神社の神主夫妻に引き取られて龍宮姓を名乗っていることも。

だがなぜ魔界ではなくこの人界で暮らすことになったのかは先程の説明には無かった。



「ああ、それは……」



真名は口を開くがやや言いにくそうだ。

だがやがてポツリポツリと話しはじめた。

どうやら真名が人界にやって来たのは、小竜姫がワルキューレから彼女の保護を求められたからだそうだ。



「実力主義とは名ばかりでね、純粋な魔族が大半の魔界正規軍の中で私はかなり疎まれていたらしい。

ハーフでしかも孤児の癖してワルキューレ大尉によく気にかけてもらっていたのが気に入らなかったようだ。

危うく戦場で、フレンドリーファイアで命を落とすところだったよ。 今は予備役として軍には籍を置いている」



ほんの少し陰のある表情で真名はそう呟いた。

その後を引き継いで小竜姫が口を挟む。



「まだ若い彼女が戦場ばかりで暮らすのは忍びないと思い、縁のあるこの神社の神主夫妻に彼女を預けたのです。

忠夫さんたちが非常勤講師の話を引き受けたのは聞いていましたが、まさか彼女がそこの生徒になっているとは知りませんでした。

世間は狭いですね」



そんなことを話しているところに携帯電話が着信を知らせるメロディを奏でる。



「おっと、私のだ。 ちょっと失礼」



そう言って真名がとある場所から携帯電話を取り出した。

それを目にした瞬間横島はガン見し、ルシオラと小竜姫が崩れ落ちる。



「クッ、これが持つものと持たざるものの差だというの……?」


「胸部装甲の厚さが女子力の決定的な差じゃないはずです……」



ポケットなどついていない巫女装束の彼女が携帯を取り出したのは、その見事な双丘の深い谷間。

そんな三人の姿をタマモだけがけらけらと笑いながら眺めていた。

やがて電話を終えた真名が再び横島たちのほうを振り向いてこう告げる。



「どうやら仕事が入ったようだ。 では小竜姫様、失礼いたします。

横島先生たちも、また学校で」



そう言い残し、真名は社務所の奥にある自宅へと戻っていった。

その後一行は当初の予定通り初詣を済ませ、先程登ってきた石段のほうへと足を向ける。



「ねえ忠夫。 今晩これであんたのナニをアレして○○なことや△△なこと、おまけに□□なことしてあげよっか?」



途中、先ほどのアレに対抗心を燃やしたのかタマモが己の胸を寄せつつそんなことを横島に耳打ちする。

だがそれをこの人物が許すはずも無く。



「いけませんッ!! 大体今日は私が優先される日のはずです!!」


「もう、冗談よ冗談。 わかってるって、シャオ。

久しぶりなんだから、今夜はいっぱいかわいがってもらいなさい。

でも、『なぜ置いて行ったーッ!!』て拗ねたエヴァが乱入してくるかもよ?」


「昼間から酔い潰れてるエヴァンジェリンさんが悪いんです!!」



そんなやり取りをしながら着た道を戻っていく横島たち。

その後姿を先程家へと戻っていったはずの少女がじっと見つめていた。



「(ルシオラ先生やタマモ先生、エヴァ先生という美女三人だけじゃなく神族であるはずの小竜姫様とも関係しているとは……

あなたは一体何者なんだい、横島先生?)」

  
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