GS美神×ネギま!
□南国リゾートは危険な香り
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「なぜあなたがここにいるのです?」
「な、なぜって、俺は冥子ちゃんに呼ばれて……」
とある飛行場にて、自分の正面に立つ相手からの言葉に思わず横島が怯む。
そして助け舟を求めるように横に立つ冥子へと顔を向けた。
すると目の前の少女も視線を冥子へと送る。
「いったいどういうことですの、理事長先生?」
「そういうことって〜〜言われても〜〜〜。 あなたの〜〜安全のために〜〜〜、腕の立つGSの手配を〜〜お願いされたもの〜〜〜」
「……誰からでしょう?」
「雪広家の〜〜、ご当主さま〜〜〜」
「お父様ーーーーーーーーッ!!」
目の前の少女が空へと向かって盛大に吼えている間に、横島はこっそりと冥子へ問いかけた。
「なあ冥子ちゃん。 彼女からの風当たりが強い気がするのは俺の気のせいか?」
「それは〜〜〜」
「それは?」
「普段の横島クンの〜〜行動のせいじゃないかしら〜〜〜」
「俺の行動?」
「ルシオラさん達だけじゃなくて〜〜〜、最近は〜〜生徒さんたちとも〜〜〜仲がいいらしいじゃないの〜〜〜」
「うぇ? そ、それってどういう……」
「し〜り〜ま〜せ〜ん〜〜〜」
「あだだだだだだだッ!!」
ギュムッと冥子によって横島のお尻が摘まれた。
どこにそんな力があるのかと一度本気で問い質したくなるくらいの握力でだ。
悶絶する横島であったが、そんなものはお構いなしとばかりにいつの間にか復活した少女が理事長へと話しかけた。
「父からの要請というのであれば、私が断る理由はありません。 雪広 あやか、横島先生の同行を許可いたします」
こうして横島はあやかの了承を得て、問題のリゾートホテルへ調査へと乗り出すのであった。
「よろしくな、雪広」
そう言って横島は右手を差し出した。
対するあやかも手を差し出し握手を交わす。
「いいですか横島先生、これだけは覚えて置いてください。
私にいやらしいことをしようとしたら、迷わず海の中へと沈めて差し上げます」
あやかはそう言うと、最後にグリッと握る手に力を入れた。
そして手を離すと振り返り、待機していたプライベートジェットへと乗り込んでいく。
置いていかれてはたまらないと、痛む手を摩りながら横島も慌ててタラップを駆け上がる。
だが慌てていたため前を良く見ていなかった横島は、次の瞬間搭乗口のところで立ち止まっていたあやかの背中に顔から突っ込んだ。
「ひいっ、堪忍やーーーーーーッ!!」
先ほどの言葉と氷のように冷たい視線を思い出し、思わず横島はそう言って身構えた。
だが予想とは違いあやかからの動きはない。
というより固まっているようだ。
「おーい雪広、どーしたー?」
不思議に思った横島があやかの背後からヒョコッと中を覗き込む。
するとそこには予想もしなかった光景が広がっていた。
「あやか遅い!! 横島先生も早くこっちきて座ったら?」
「ガキじゃねーんだからはしゃぐなって、明日菜」
そこにいたのはなぜか見知った二人。
「あ、ああ、あなたたち、なぜここに?」
あやかも知らされていなかったようで、なぜかすでにシートに座っているクラスメート二人を指差しながら驚いている。
「なぜって言われても…… ん〜、監視?」
「だな、それが一番ぴったりだ」
「監視? 一体誰のですの?」
監視といわれても綾香にはピンと来ないようだ。
だがここに、心当たりのありすぎる男がいた。
「ちょっと待てー。 ワイはそんなに信用ないんかーーーーーッ!?」
「雪広と二人っきりでなんか行かせられるはずがないだろ? 兄さんのことだ、絶対何かやらかすに決まってるんだから」
「そうそう。 それに、これはタマモさんやルシオラさんたちからの指示でもあるんだから諦めたら?
まぁ、ついでに手伝いくらいはしてあげるけど」
「うがー、納得いかーーーーーーーんッ!!」
妹分の二人にそう言われ、ガックリと横島がうなだれる。
そしてそんな横島の叫び声を客室に響かせながら、雪広家所有のジェット機は静かに滑走路を進むのであった。