GS美神
□ちうちゃんの秘密!?
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「あ〜さ〜く〜ら〜〜」
「ん!? どしたの? 珍しいね、長谷川から話しかけてくるなんて」
登校するや否や芸能レポーターの突撃取材のように集まってきた級友たちを押しのけ、千雨は騒ぎの原因である『六女のパパラッチ』こと朝倉へと詰め寄った。
だがそこはさすがのパパラッチ、千雨の抗議をサラッと流し何事も無いかのように千雨に問いかける。
「どしたの?じゃねえっ! なんだよあの写真は!? お陰で朝から大変な目に会ったじゃねーか!!」
「なんだって言われてもねぇ。 写真にしっかり写ってるように手を繋いでいたのは事実なんだしさ、いっそのこと皆の前でホントの事言っちゃいなよ。
で!? あの男の人は長谷川とどんな関係な訳?」
「はぁ!? なんでんなこと教えねーといけねないんだよ。 大体あの人にはちゃんと恋人がい『略奪愛キターーーーーーッ!?』ちげーよ、バッカじゃねーか早乙女っ!!」
朝倉に横島の事を誤解の無いよう軽く説明しようとした矢先、千雨の言葉を遮って話しに割り込んできた人物が居た。
早乙女と呼ばれたこの少女、級友たちからは『パル』と親しみを込めて呼ばれているが、同人誌を手がけていたりする為朝倉と並んで千雨の中で関わりあいたくない人物の一人であった。
「(こいつらぜってーネタにしようとしてやがるな。 そうはいくかっての)」
千雨はなんとか諦めさせようと言葉を続けた。
「あの人は昔近所に住んでた知り合いだ。 久しぶりに会ったから色んな話しをするついでに買い物に付き合ってもらっただけだっつーの。
これ以上は何も喋らねーぞ!?」
「「そこをなんとか!!」」
パパラッチと腐女子が両手を合わせて頼んでくるが、そんなこと千雨には知ったことではなかった。
ただでさえ横島家は非常に複雑なのだ。 まさか勝手に喋る訳にも行かないし興味本位で首を突っ込んで欲しくもない。
「言っとくけどな、あの人つついたら出てくるのは蛇どころじゃすまねーぞ? 下手したら命がなくなると思っとけ。
あと、ピンチのときに都合よく助けてくれる神様なんかいねえからな」
千雨の指摘は尤もだ。
なにせ横島に迷惑をかけようものなら、出てくるのは魔王の娘に九尾の妖狐、吸血鬼にさらには竜神様や魔族の現役の軍人さんなのだから。
だが果たして千雨の忠告がどこまで聞き入れられるのか。
何せこのクラスの級友たちときたら何かと騒がしく、お祭り騒ぎが大好きな連中ばかりなのだ。
「「またまた長谷川ってば私たちを驚かそうったって、そうはいかないって」」
ほら、こんな具合に簡単に流された。
とそこへ新たな人物が……
「拙者も聞きたいでござるな」
「ふむ、私も興味が湧いてきたね」
「うるせーよ、長瀬!! 大体なんでテメーみたいな忍者が普通科のこのクラスに居るんだよ。
あと龍宮、お前もだ!! お前ら二人は霊能科の方がぴったりだろうが!!」
「にんにん、何のことでござるかな?」
「ふっ、私は狙撃手だぞ? 狙撃手とは姿を隠すものだ。 霊能科のような目立つところに出るわけにはいかないだろう?」
なぜか全く忍ぶつもりの無いくの一娘と褐色スナイパーが寄ってきた。
この二人、明らかにあの男のストライクゾーンに嵌っている。
千雨としてはいろんな意味で会わせたくはないし、会わせて余計なごたごたに巻き込まれるのはゴメンなので絶対に喋るものかと強く心に誓う。
だがそれが数日後にあっさりと崩れ去るのだがそれはまた別のお話ということで。