GS美神
□戦乙女の極秘ミッション!?
2ページ/4ページ
「大尉、目標はあの建物の中であります」
「よし少尉、別命あるまでその場で待機せよ」
「了解っ!!」
夜の闇にまぎれて、二人の人影がとある建物の様子を窺っていた。
隠さなくても分かるだろうが、ワルキューレとジークの二人である。
休暇申請をとっていたジークは、突然やってきた姉に無理やり連れてこられたのだ。
ここまで来る途中に用件を聞いたのだが、ジークは姉の不器用さに呆れるしかなかった。
「(何で僕までこんな事を…… ホント、勘弁して下さいよ横島さん)」
そんなことを考えていたジークの元へ、ワルキューレからの無線連絡が入る。
「少尉、聞こえるか?」
「はっ、感度良好であります大尉殿」
「よし、作戦を決行する。 今作戦は、とある人物を周囲に気付かれることなくある場所まで連れ出すことだ。
目標人物は貴様もよく知っている『横島 忠夫』。 作戦許容時間は三分だ。
三分で戻ってこない場合は作戦失敗と見て私も突貫する。
作戦開始はマルフタマルマル(02:00)だ。 復唱!!」
「はっ!! 作戦は『横島 忠夫』をある場所まで連れ出すこと。
作戦許容時間三分。 それ以降は強襲作戦へと変更。 作戦開始はマルフタマルマルであります」
「よろしい、では健闘を祈る。 オーバー」
「了解っ!! オーバー」
何気にジークもノリノリであった。
AM2:00となり、ジークは音を立てずに行動を開始する。
明かりの消えた横島の家へ、裏の勝手口から中へと侵入した。
「(侵入成功)」
「(よし、そのまま寝室へ)」
真っ暗な家の中を、慎重に進んでいく。
何度も来た事がある家なので、ある程度間取りが分かっていることもジークにとっては幸運だった。
そしてようやくたどり着いた寝室。
ここまでは気付かれた気配はない。
部屋のドアを開け、横島が眠るベッドへと近づく。
「(よしっ、確保せいk……)」
ここでジークの意識は途切れることとなった。
「(そろそろ三分…… くっ、ジークめ失敗したか!?)」
予定時刻になっても戻ってこないジーク。
しかたなくワルキューレはジークが侵入した裏口より家の中に入っていく。
だがその瞬間、ワルキューレは突然身体の自由を奪われることとなった。
『パチッ』
部屋の電気がつけられ、ようやく自分の今の状況を確認することが出来た。
足元に転がる『縛』の文字の入った文珠。
「残念でした、ワルキューレさん。 任務失敗ね!?」
「なにやってんのよあんたたち。 しかも姉弟揃って……」
ルシオラは楽しそうにクスクス笑い、タマモは呆れたように半目で二人を見ていた。
ワルキューレがジークを探すと、部屋の隅でロープで縛られ転がされている。
ところで肝心の横島は?ということで部屋を見回してみると、これまた部屋の隅でなにやらいじけていた。
よく見るとパンツ一枚の格好で。
「ちくしょー、今日はこれからエヴァちゃんも入れて四人で××やったのにーっ!! 邪魔しやがってジークのアホーッ、ワルキューレのバカーッ!!」
そして血涙を流しながらなにやら悔しがっていた。
「バカとは何だーっ!! 元はといえば貴様が悪いんだろうが!!」
「何がじゃーっ! ワイが何したって言うんじゃーっ!!」
「私に何もしないのがゴニョゴニョ……」
突然始まった罵りあいだが、だんだんワルキューレの声が小さくなっていく。
「「(はっはーん、ついに実力行使に出たわけね。 ホント不器用なんだから)」」
ワルキューレの行動は、どうやらルシオラとタマモの二人にはお見通しだったようだ。
「いったい貴様らは何がしたかったのだ、まったく。 こんな時間にいい迷惑だっ!! これからせっかくゴニョゴニョ……」
金髪吸血姫も最初は文句を言っていたが徐々に小声になっていく。
これからどんな予定だったのか、作者にもさっぱり分からないが。
だがこんな事をしていても何も始まらないので、今日はもう夜も遅いということで明日もう一度ワルキューレにはこの家に来てもらい話しをすることとなった。
「よし、あいつらも帰ったことだし今からさっきの続きを……」
「あ、私は今日はもうパース」
「私もパスだ。 興が削がれた」
横島が何かの続きを促すが、タマモとエヴァは素っ気無く断る。
何かにすがるように横島はルシオラのほうを向く。
若干涙目になっている。
「もう、仕方ないわね。 ほら、いらっしゃい。 じゃね、おやすみタマモちゃん、エヴァちゃん」
「「おやすみ、ルシオラ」」
お互いそう挨拶を交わし、それぞれの寝室へと向かう。
「もら、いつまでも残念がってないでいくわよヨコシマ。 なーに!? 私だけじゃ不満なの?」
ただいまの時刻はすでにAM3:00を回っている。
横島はルシオラの手を掴んで寝室へと猛ダッシュするのであった。