GS美神×ネギま!
□幽霊少女登場!!その名は!?
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「二ヒヒヒッ♪」
「お、お姉ちゃ〜ん、やめようよぉ……」
「だいじょぶだいじょぶ、バレっこないって。 よっし、こっちは出来たっと」
本当に高校一年生なのかと疑いたくなるような容姿の少女が、自分によく似た顔立ちの少女を止めようと声をかけている。
若干涙目なその姿は、一部のお友達からは絶賛されそうだ。
『お姉ちゃん』と呼んでいるあたり、どうやら双子らしい。
だが双子の片割れと一緒になってなにやら教室のドア近辺に細工をしているショートカットの少女は、そんなことを言いながらまったくやめる気配を見せない。
全ての細工が終わり、後はいよいよ獲物がかかるのを待つばかり。
『キーンコーンカーンコーン……』
そこへタイミング良く授業開始のチャイムが鳴り響いた。
『コツコツ』と足音を響かせ、このクラスでの初授業に一人の青年が向かう。
近付いてくる足音を聞き、先ほどちょっとした仕掛けを施した少女達は笑みを深める。
『ガラガラッ』という音とともに教室のドアが開かれた。
するとその瞬間、ほんの僅か開いたドアの上部に挟んであった物体が彼の頭目掛けて重力に従い落下を始める。
その物体はまるで見えない何かに阻まれるような感じで彼の頭にぶつかる直前、何故か不自然に動きを止めた……
なんてことはなく、誰もが『あ〜あ、可哀想に……』と心をひとつにしようとした瞬間、その男は人体構造を無視したような動きで落ちてきた黒板消しを避ける。
さらには足元に張られたロープや落ちて来たバケツも難なく避けていく。
これが軽やかに避けているならまるでさわやか主人公のようだがそこは横島、その動きははっきり言って奇妙としか言いようがない。
「ふっふっふっ、まだまだ甘いな!!(せっかくここまで手の込んだ仕掛けを作ったんだから、最後くらいは労ってやるか)」
そう言いつつ決めポーズをとりながら横島は教壇に立った。
だが教壇の真ん中に立っていた横島がほんのわずか右にズレたのは、クラスのほとんどの生徒が気づかなかった。
そんな中、教室中に大きな音が響き渡る。
『グワヮ〜〜ン』
まるでコントのように、横島の頭上に金タライが直撃する。
その衝撃で頭を前へと倒した横島は、そこでさらに頭を教壇へと打ち付けた。
『へぶっ!!』という横島の声。
一瞬の静寂の後、教室中は大きな笑い声に包まれていた。
中には例外もいるわけで、横島の動きに気づいた連中はまるで獲物を見つけた猛禽類のような目で横島を見る。
「(ほんの僅か、あの金タライは中心から外れていた。 彼はそれに気づいていたのか……!?)」
この日以来、横島は褐色スナイパーら武闘派女子高生数名に模擬戦を申し込まれては断るということを繰り返すこととなる。
なかなか模擬戦を受けてくれない横島に仕入れを切らした彼女たちから、時々問答無用で襲われることもあったとか。
なぜ横島が模擬戦を受けないかというと、それはもう彼女たちの容姿が全てを物語っている。
中学生のころから同級生たちからも羨ましがられるほどのスタイルの持ち主なのだ。
そんな彼女たちと模擬戦などしようものならけしからんことになるに違いないがその模様はまたいつか。
「あ〜、死ぬかと思った」
おなじみのセリフで横島は先ほどの衝撃から復活を果たした。
身体を張った前振りが功を奏したのか、教室にいる生徒たちは興味深そうに横島を見つめている。
『面白そう』『手合わせを』『何やってんだ兄さん……』等、それぞれの思いは別として。
「あ〜、コホン。 今日から週に一回、君たちも関わることがあるかもしれない身近に起こりうる霊障について教えることになった『横島 忠夫』だ。
本来ならここで自己紹介をしてもらいたいところなんだが、その前にさっきの仕掛けを仕込んだのはだれかな!? はい、立って」
横島がそう言った瞬間、怒られると思ったのか彼女たちはピクリと肩を震わせた。
クラスメイトの視線もその人物たちに集中している。
その様子では丸分かりなのだが、なかなか彼女たちは立ち上がろうとしない。
と、そこへ出席簿を見ながら横島が声をかけた。
「なるほど。 鳴滝風香ちゃんに史伽ちゃん、君たちは双子か……。 それに春日さん、はい三人とも起立」
名前を呼ばれてしまってはもう従うしかない。
三人はビクビクしながらその場に立ち上がった。
クラスメイトたちも三人が怒られると思ったのか、心配そうな顔をしている。
だが続く横島の言葉は彼女たちの予想を見事に裏切った。
「いや〜、なかなか手の込んだ仕掛けだったな。 俺が高校生の頃でもあそこまでのものはなかなかお目にかからなかったよ。
でも最後が惜しかったな、ちょこっとだけタライが中心から外れてたぞ!? それさえなければ完璧だ。
あとはそうだな、俺以外の先生方にはほどほどにな!?」
『座ってよし』、そう言いながら横島はニカっと笑う。
教室中がホッっとした空気に包まれる中、懲りないこの少女たちは燃えていた。
「(よーし、次は絶対嵌めてやるんだから)」
「(お、お姉ちゃ〜ん……)」
「(ふっふっふっ、面白くなってきた〜)」
そしてこの対応によって、横島は殆どの少女たちから好意的に受け入れられることとなった。