GS美神×ネギま!

□このちゃんの里帰り!?
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「タン、タン、タン……」



軽やかな足音を響かせ、艶やかな黒髪を腰のあたりまで伸ばした少女が放課後の校舎の階段を駆け降りる。

階段の真ん中あたりからふと視線を階下の廊下へ移すと、そこには見知った人物の姿があった。



「あ、せっちゃんや! せっちゃーーーーーーん!!」



視線の先にいる人物にそう声をかけると、なんと彼女はそのまま階段から階下の人物に向かって飛び降りた。



「え? あ、ふぇっ!? ちょ、こ、このちゃん、危なっ!!」



自分目がけて飛び降りてきた相手を咄嗟に受け止める。

同年代の少女と比べ普段から剣の鍛錬を行っているため多少体力に自信はあるが、それでも今の行為はあまりにも危険だ。

幼馴染であり、大切な親友であるからこそやや厳しめの口調となった。



「危ないことしたらあかんて、このちゃん!!」


「あーん、堪忍やぁ。 せっちゃんの姿が見えて、嬉しなってもうてつい……」


「『つい……』ちゃうて、このちゃん。 怪我したらどうするん?」



目の前の人物からの厳しい言葉におもわずしゅんとなる。

だがそれと同時に、大切に思われているとも感じ嬉しくなってくる。

そして、長い間疎遠になっていたこの幼馴染の少女と再びこうして本音で向き合えるようになった数か月前の出来事を思い返した。





……………………

………………

…………

……





「ん〜……」



新幹線を降り、ホームへと歩を進めた少女が腕を伸ばし背筋の強張りを解す。

彼女の名は『近衛 木乃香』。

出身はここ京都であるが今は親元を離れ、通っている六道女学院の寮に住んでいる。

GW初日の今日、彼女は連休を利用し実家へと帰ることにしたのだ。

そして新幹線での道中、車両内にカエルが大量発生するというハプニングもなく無事ここ京都駅へと着いた。



「たしか駅前に千草さんが迎えに来てくれとるんやったな〜」



木乃香はそう呟くと、「んしょ……」とかわいらしい掛け声を上げコロコロとキャリーバッグを引き改札へと歩き出す。

改札を抜け駅舎を出ると、車の脇に佇む見知った顔を見つけた。



「あ、千草さんや。 お久しぶりや〜」



木乃香はにこやかに迎えの女性にそう声をかけた。

千草と呼ばれた出迎えの女性は、無言でスッと木乃香に頭を下げるとキャリーバッグを受け取り後部座席のドアを開ける。

そして木乃香が車に乗り込むとドアを閉め、荷物をトランクへと仕舞った。

その後運転席へと乗り込んだ千草は無言で車を出す。

それと同時に、木乃香達が走り去った方向とは反対の方角に一羽のツバメが飛び去る。

ごく自然な景色のようなその一部始終を、物陰に控えていた黒髪サイドポニーの少女は決して見逃してはいなかった。



「(ん〜…… 千草さんて、こんに大人しい人やったやろか?

もう永いこと会うてへんかったけど、小さい頃はもっといろいろお話してくれたようなイメージなんやけどな〜。

運転中やからやろか?)」



車窓から流れる景色を眺めながら、静かな社内で木乃香はわずかな違和感を覚える。

木乃香がまだ京都に住んでいた幼い頃、姉のように慕っていた目の前の女性。

幼い自分にいろいろなことを教えてくれた記憶がある。

一言も言葉を発しない彼女はまるで別人のように感じるが、結局会話のないまま見慣れた山門の前で車が止まった。

車を降りた木乃香は短い石段を登り門を潜る。



「「「「「「お帰りなさいませ、このかお嬢様ーーーーーーッ」」」」」」



門を潜り敷地へと足を踏み入れた木乃香へと、そんな声がかけられる。

見るとそこには巫女衣装をまとった大勢の女性たちが列を作り木乃香を出迎えていた。



「ただの里帰りやのに大袈裟やわ〜。 せやけどみんな、わざわざおおきになぁ」



出迎えの巫女たちにそう言葉を返し、木乃香は久しぶりの実家の中へと入って行った。

  
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