GS美神×ネギま!

□そして時は動き出す
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『いらっしゃいませ、横島さん。 オーナーがお待ちですので中へどうぞ』


「サンキュー」



人工幽霊に許可を得た横島たちが建物の中へと入る。

そんな一行へ再び声がかけられた。



『また会えて本当にうれしいです、おキヌさん』


「心配かけてごめんなさい、人工幽霊一号。 それと、ただいま!!」


『はい、おかえりなさい』



自身にかけられた声に、おキヌが笑顔で返事を返す。

その姿を横島たちが微笑ましげに見ていた。

ただ一人、エヴァだけが未だに慣れないのか姿もなく突然聞こえてきた声にビクッとしていたが。



『コン、コン、コン』


「どうぞー」



横島が応接室のドアをノックする。

するとほぼ間を開けず中から返事が聞こえた。



「失礼するわね」



そう声をかけたタマモに続いてルシオラとエヴァが部屋へと入っていく。

そしてその後から横島が顔を出し、一番最後におキヌが懐かしいその部屋へと入った。



「おキヌちゃん…… 良かった、本当に……」


「美神さん、あの、私……」



いつもの席に座っていた美神が本当にうれしそうにそう言って立ち上がる。

その顔を見たおキヌの目に涙が浮かぶ。

美神はそんなおキヌにゆっくり近づくと、優しく労わるようにそっと抱きしめた。






「ごめんね、おキヌちゃん。 お客さんなのにお茶を淹れてもらって」


「いえ、私がやりたかっただけですから。

それにこうしていると、『ああ、本当に帰って来たんだ』て思えるんです」



美神の言葉におキヌが笑顔でそう返す。

嘗て慣れ親しんだ美神事務所のキッチンは今も当時と変わりなく、おキヌの胸に温かい思い出が次々と溢れてきた。

おキヌが落ち着きを取り戻すまで抱きしめていた美神であったが、今は全員がソファーに座っておキヌが淹れたお茶を飲んでいる。



「じゃあ、こはおキヌちゃんに返すわね」



そう言って美神はソファの前に置かれたテーブルの上に封筒を置いた。

そしてそれをおキヌの前へと差し出す。



「っ!! 美神さん、これって……」


「ええ。 おキヌちゃんのGS免許よ。 更新の手続きもしてあるから失効もしてないわ。

『免許』なのだから本当なら本人が更新しなくちゃいけないんだけどね。

ま、GS協会も世界でも数えるほどしかいない『死霊使い(ネクロマンサー)』を失うことは避けたかったってことでしょ。

特例として代理での手続きを認めてくれたわ」



そう言って美神は茶目っ気たっぷりにウィンクして見せる。

その後おキヌは何度も美神に頭を下げお礼の言葉を伝えた。

横島たちもそれぞれ美神に対し感謝の気持ちを述べる。



やがて美神への報告と必要な手続きを終えた横島たちが席を立ち、応接室から退室していく。

来た時と同じようにタマモたちが先に部屋から出ていき、最後に横島とおキヌがもう一度美神に向けて頭を下げる。

そして退室するために振り返った横島の背に、美神が小さな声で呟いた。



「本当にありがとう横島クン。 そしてこれからもおキヌちゃんの事、宜しくね」

  
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