GS美神×ネギま!

□聖なる夜の贈り物
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「ねえ千雨。 あそこにいるの、さよちゃんじゃない?」


「ん? ああ、本当だ。 てか、なにやってんだあいつ?」



とある休日の昼下がり、明日菜と千雨は買い物をするため二人で出かけていた。

目的のものも買い終わったため二人でぶらぶらと歩いていると、とあるセレクトショップの前でジーッとショーウィンドウを眺めている人影を見つけた。

先に気が付いた明日菜が隣を歩いていた千雨に声をかけ、二人でその人影をよくよく確認してみるとやはり見知った人物?だったようだ。

そのまま二人はその人影に近づき、明日菜が声をかけた。



「さ・よ・ちゃん、なーにやってんの?」


「うひゃいっ!?」



突然背後から声をかけられ驚いたのか、そんな声がさよの口から洩れる。

それがちょっと恥ずかしかったのか、ほんのり顔を赤らめさよが抗議の声を上げた。



「もー、脅かさないでくださいよ神楽坂さん。 あと、長谷川さんもこんにちは」


「あははっ、ごめんごめん。 なんか真剣に眺めてたから、思わず声をかけたんだけどさー。

あと、私のことは『明日菜』でいいわよ。 『神楽坂』って、呼びにくいでしょ?」


「よぉ、相坂。 私のことも『千雨』でいいぜ。 んで、なに見てたんだ?」


「じゃあ、『明日菜さん』と『千雨さん』、と呼ばせてもらいますね? 私のことも『さよ』でいいですよ?

それと、ここに飾られているお洋服を見ていました」



そう言ってさよが再びショーウィンドウの中に目を向ける。

そこに飾られていたのは若者向けの流行りのファッションであった。

このセレクトショップはオーナーのセンスの良さが光る品揃えで十代後半から二十代半ばくらいの若い女性に大人気なのだ。

ただ値段もそれなりなので高校生である明日菜や千雨たちが頻繁に訪れることはないのだが、それでもこのショップで何度か買い物をしたことがある。



「ほら私、幽霊だから死んだときに来ていたこの制服しかお洋服を持っていなくって。

一度でいいからこんな素敵なお洋服を着てみたいなって……」



そう言ってさよはほんの少し寂しそうに笑う。

その言葉に何か思うところがあったのか、明日菜と千雨はお互いの顔を見合わせた。

だが今すぐにどうこうできる問題でもないため、明日菜と千雨はその後二言三言さよと言葉を交わし別れる。

そして二人はその足で横島邸を訪れた。






「ふーん、なるほどなー」


「そうなんだよ。 なあ兄さん、どーにかなんないか?」



さよと会った際の話を横島たちに伝え、千雨がどうにかならないかと横島に尋ねる。

だが幽霊でも着ることができる服なんて聞いたことがないため、千雨も明日菜もやはり難しいかと思い始めた。

だが横島の様子を見る限りはそうでもなさそうだ。



「うーん、心当たりがないわけじゃないんだけどなー」



だがその言葉通り、横島の表情はあまり乗り気ではなさそうであった。

それもそのはずである。

過去に一度そこを訪れた際、横島は強烈なトラウマを植え付けられたのだ。

しかしこのかわいい妹分たちは横島の操縦方法をよくご存じだ。

ソファに座っている横島の両サイドからその身を寄せ右手を明日菜が、そして左手を千雨がそっと握る。

そして上目遣いで魔法の言葉を口にする。



「「兄さん、おねがい」」


「むわっかせとけーッ!!」



そして意気揚々と横島はどこかへと出かけて行った。

その姿を見てタマモやルシオラが苦笑いを浮かべる。



「はあ。 本ッ当にヨコシマったら可愛い娘のお願いに弱いんだから」


「まあそのお願いをしてきたのが千雨と明日菜だからってのもあるんでしょ」




そんなことを言われているなど知る由もなく、そのころすでに横島は文珠を使ってとある険しい山のふもとに立っていた。



「くそぅ、またこの山を登るのか。 しかもその後で出くわすのがあのバアサンとか、いったいどんな罰ゲームだよ。

くっ、しかしこれもさよちゃんの為。 行くっきゃないッ」



そう覚悟を決め、横島はその険しい山を登り始める。

そして途中何度も雪で足を滑らせそうになりつつも、何とか山頂の小屋の前へとたどり着いた。



『ドンッ、ドンッ、ドンッ』と勢いよくドアをノックするが、中から誰かが出てくる気配がない。

横島はもう一度ノックをする。

すると中から『ガタガタッ』という音が聞こえた。

間違いなく人はいるようだ。

外の吹雪もいよいよ激しさを増してきた。

このまま外にいては凍えてしまうため、意を決して横島は扉を開いて中を覗いてみる。



「失礼しまーっす。 えーと、織姫さま……?」



だが次の瞬間、横島の目に信じられない光景が飛び込んできた。

艶やかな腰まで伸びた黒髪、細くくびれたウエスト、染み一つない真っ白な肌。

そして極めつけは驚いたようにこちらを振り向いたその顔である。

なんとそこにいたのは以前に会ったあの皺だらけの老婆ではなく、目を見張るような絶世の美女が居たのだ。

しかも着替えの途中だったのか胸元にはだけた衣装を抱えて。



「う、生まれる前から愛していましたーーーーーーーーッ」


「い、嫌ぁーーーーーーーーーーーッ!!」



お決まりのルパンダイブをぶちかます横島であったが、その顔面に見事なカウンターの右ストレートが炸裂した。

『ドサッ』と硬い床に顔面から落ちた横島のその顔はとても幸せそうであったとか。






 
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