GS美神×ネギま!

□褐色スナイパー、危機一髪!?
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「エッホッ、エッホッ……」



徐々に大きくなってきたそんな掛け声が、ある家の前でぴたりと止まる。

その家の前に止まったのは、現代においてはもはや使うものがいない『駕籠』であった。

なかでも公家や大名が使っていたような、立派な装飾が施されて引き戸が付いている高級感あふれるのもである。



「「姫様、到着でございます」」


「ご苦労様でした」



そう言って駕籠から姿を現したのは、妙神山修業場の管理人である小竜姫であった。

その彼女が足を踏み出し玄関のチャイムを押すよりも早く、家の中から『ドドドドドドッ』という足音が聞こえてくる。

そして『バンッ』と勢い良く扉が開いたかと思うと、何かが小竜姫目掛けて飛び掛ってきた。

思わず神剣の柄に手が伸びる。



「小竜姫さま〜〜〜〜ぁ!!」



聞きなれた男のそんな叫び声が聞こえてくる。

小竜姫は『はぁ……』と一つため息をつくと、笑顔でその人物を迎え撃った。



「えいっ」


「どわぁっ!?」



そんなかわいらしい掛け声とともに、小竜姫は鞘に収まったままの神剣を振り下ろす。

だが仮にも神の一柱である小竜姫の一撃を、飛び掛ってきた男は空中であるにもかかわらず紙一重で避けた。



「い、いきなりなにするんスか、小竜姫様っ!?」



たまらず男が抗議の声をあげる。

だがそんな男の声など気にした様子もなく、小竜姫は笑顔で男にこう告げた。



「往来の真ん中でいきなり飛び掛るなと何度も言いましたよね、横島さん?」



確かに小竜姫は笑顔ではある。

だがその目は全く笑っていない。

これにはさすがの横島の腰もわずかに引ける。



「久しぶりに会ったんだから、これくら『言・い・ま・し・た・よ・ね・?』……はい」



だがそれをグッとこらえて口にした抗議の言葉も、とってもいい笑顔でこちらを射抜く小竜姫の視線の前にあえなく萎んでしまう。

しかしその直後、横島の頭が優しく抱き寄せられた。



「遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いしますね、忠夫さん」


「シャオ……」



いつの間にやら二人の周りにピンク色の世界が構築されていく。



「我らのことはすっかり眼中にないようじゃのう、右の」


「そうじゃのう、左の」



ここまで駕籠を担いでやってきた鬼門の二人がそう呟くが、今の横島たちの耳には全くといっていいほど入っていない。

だがそんな甘〜い雰囲気をかもし出している二人に待ったをかける強者がいた。



「二人とも玄関先でなにイチャついてんのよ。 やるなら家の中に入ってからやれば?」



ヒョコッと顔を覗かせ、金色に輝く髪を九房に分けた特徴的な髪型の女性がそう声をかける。

そんな彼女の声に、二人が慌てて離れる。



「べ、べべべ、別にイチャついてなどっ……」


「そ、そうだぞ、タマモ。 ただ新年の挨拶をだな……」


「はいはい。 いいからさっさと中に入りなさい」



しどろもどろになる二人。

だがそんな二人をからかうでもなく、タマモはそう言うとさっさと家の中に引っ込んでいった。

そんなタマモの後を横島と小竜姫が追い、家の中へと入っていく。



タマモは別に嫉妬してそんな態度をとったわけではない。

年末年始は何かと忙しく横島との時間を取れなかった小竜姫。

そんな彼女が何とか時間をやりくりし、今日こうして横島に会いに来ることは事前に聞いていた。

したがって今日は小竜姫が優先される日であるとルシオラも含め納得している。

だがあのまま放っておけばいきなり玄関先でおっぱじめそうな勢いだったため、見かねたタマモが声をかけたに過ぎない。



「ルシオラさん、タマモさん。 改めまして、明けましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくね」


「よろしく。 でも、よく時間作れたわね。 この時期は神様って忙しいんじゃないの?」



リビングで顔を合わせた小竜姫とルシオラ、タマモが新年の挨拶を交わす。

そんな中、ふとタマモが疑問を口にする。

たしかに年が明けて間もない今の時期、全国各地の神社は初詣に訪れる人で大賑わいであろう。

そしてその人々がそれぞれ願い事をしていくのだから。



「ええ、そうですね。 今回人界に下りてきたのも、用事があってのことですし……」


「用事っすか?」


「はい。 ところで皆さん、もう初詣には行かれましたか?」


「いや、まだっす」



会話の中で出た突然の小竜姫の問いに、横島が代表して答えた。

すると小竜姫がポンと手を叩いてこう言い放つ。



「ではまず、初詣がてら出掛けましょう」



こうして一行は行き先もわからぬまま、小竜姫に連れられて初詣に出掛けることとなった。

  
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